研究課題/領域番号 |
25381208
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
清水 紀宏 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (50284451)
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研究分担者 |
岩崎 浩 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (80251867)
山田 篤史 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (20273823)
岡崎 正和 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (40303193)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 数学教育 / 表現 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度までの研究を基盤として、インフォーマルな表現という視座からの法則発見の授業の事例研究や割合指導の困難性及び指導の方向性の理論的研究を実施した。 前者については、小学校第2学年「九九の表ときまり」の授業における教師や子供のインフォーマルな表現を同定し、その役割や教師の指導における取り扱いを検討した。その結果、子供によるインフォーマルな表現として、「m×nに対応する第m行と第n行を示す動的な手の動き」「被乗数の「かたまり」を示す手の上下、丸囲みの動き」「同じ数のペアを示す指指し(個々、同時)」「同じ数のペアの位置関係を示唆する「左側、右側」という言語的表現」「交換法則を示唆する「反対でもできる」という言語的表現」などを見出した。また、教師によるインフォーマルな表現として、「色塗り、色囲みによる同じ数のマーキング」「交換法則を示唆する手首のひねり」などを見出した。さらに、子供と教師の表現活動の関わりを分析することを通して、「適切な表現手段がない場合の表現」「理解の深化」「意味の確認」「パタン発見の足場の提供」といったインフォーマルな表現の機能を明らかにした。 後者については、割合の指導で使用される比例数直線とその指導を「インフォーマルな表現」「プリフォーマルな表現」という視点から検討し、比例数直線の理解を支える活動や教材を提案した。 本研究の研究期間全体を通しての成果として、「インフォーマルな表現を捉える枠組み」を構築したこと、その枠組みに基づき図形の概念形成や数表の法則発見という異なる領域の授業を対象としてインフォーマルな表現の果たす役割を明らかにしたこと、および、指導への示唆として、子供のインフォーマルな表現をクラス全体の考察の対象として議論の遡上にのせる構えを教師が持つことの重要性や、そのことを実現するための教材研究の重要性を指摘したことが挙げられる。
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