本研究は,数学的意味の協定と数学的表現の協定の2つを社会的相互作用の機能ととらえた上で,社会的相互作用を基軸とする授業デザインの枠組みを提起するものである。本研究の成果は次の2点になる。第一は,授業デザインや子どもの活動の分析に活用可能な「数学的意味と数学的表現の相互発達に関するモデル」を提起するとともに,「数学的意味と数学的表現の相互発達を視座とした授業デザイン原理」を提起したことである。第二は,こうした理論的枠組みをもとに,小学校第2学年「たし算」の単元に関する「授業改善案」と「授業計画案」を策定した上で,教授実験や事後調査の結果をもとに,それらの有効性や妥当性を検証したことである。
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