研究課題/領域番号 |
25381214
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
今 由佳里 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (40440838)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 感性 / 音楽教育 / スイス / 小学校 / 「動き」と「聴取」の関係 |
研究実績の概要 |
本研究課題2年目となる平成26年度は、前年度に引き続きスイスの公立小学校における音楽科・リトミック科授業記録の収集、およびこれらの分析を中心に行った。 スイスの公立小学校における授業観察時間の総計は、本研究課題初年度から数えると100時間に及ぶものであり、音楽科・リトミック科授業の実態と特徴を十分に把握することができたことが、本年度の大きな成果と言える。 スイスでは、音楽以外の芸術分野から音楽学習に総合的にアプローチし、子どもの五感を刺激する音楽教育がなされている。観察した授業では、音の動きをシフォンの布やリボンを用いて身体表現したり、グラフィックによる音楽表現、絵画に描かれている人物から発せられている声の即興的表現、演劇、パントマイムなど音楽以外の芸術分野からアプローチし、様々な感性を刺激する学習が展開されている。ジュネーヴでは、とりわけ身体の動きを積極的に授業に取り入れた学習が展開されていた。これらの活動は小学校低・中学年に多く見られ、子どもたちの心にいわゆる「音楽の種を蒔く」学習となるよう工夫がなされている特徴が見られた。 本年度の研究成果は、日本音楽教育学会第45回大会において「『身体の動き』を取り入れた音楽学習に関する一考察 ―ジュネーヴ州公立小学校における授業からの示唆―」として、口頭発表を行った。また、鹿児島大学教育学部教育実践紀要第24巻において「Musique et mouvement a l'ecole における『動き』を取り入れた聴取の有効性に関する一考察」として研究成果をまとめている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スイスの公立小学校における授業記録および研究資料は、この地の教育的特徴を分析・考察する上で十分に収集することができ、計画通りに進んだといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、これまでに収集した授業記録から子どもの感性をひらく音楽科授業の在り方について研究をまとめ、日本の学校教育において適用できるような指導プログラムを開発する予定である。なお、このプログラムの開発には、現職のジュネーヴ州公立小学校リトミック専科教員を日本へ招き、日本の小学校での検証授業を実践する予定である。 これまでの研究成果は、次年度7月に香港で開催される10th Asia-Pacific Symposium for Music Education Researchにおいて、発表することが決定している。 研究最終年度にあたる平成27年度は、本研究の成果をひろく社会へ還元するため、学校教育現場のみならず鹿児島県主催の県民講座等でも実践・紹介していく予定である。また、積極的に学会発表を行い、研究の成果を論文にまとめていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、旅費や物品購入において些少な金額の差異が生じたために次年度へ持ち越す使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
旅費あるいは物品購入費に付加する予定である。
|