研究概要 |
本研究は日本人EFL学習者の英語学習に関する言語学習信条(Beliefs About Language Learning :以下BALLと略)を、英語学習全般、リーディング、ライティング、スピーキング、リスニングのそれぞれに適した質問紙を開発して回答を得点化し統計処理することにより(1)日本人EFL学習者の英語学習に関する信条の特徴を明らかにすること、(2)日本人EFL学習者の信条と英語熟達度との関係を明らかにすること、の2点を目的としている。1年目の平成25年度においては、「日本人EFL学習者の英語学習全般に関する信条の研究」を実施した。研究への同意が得られた非英語専攻の大学1年生を対象に調査を実施した。回答漏れや不備のあるものを除いた184名を分析対象とし、リッカート尺度の質問紙調査の結果をTOEICの得点と統合して分析することで学習信条と英語熟達度との関係を明らかにした。質問紙への回答(5:ほぼ当てはまる~1:全くあてはまらない)はそのまま得点化され、統計処理された。因子分析の結果、第I因子(動機づけ)、第II因子(英会話力特別視)、第III因子(構造理解)、第IV因子(学習への積極性)が抽出された。更に各因子の標準因子得点に基づく分散分析の結果、TOEICの総合得点(F(1, 182)= 3.91, p =.05, η2 = .02)とリーディング得点(F(1, 182)= 5.74, p =.02, η2 = .03)において、第I因子(英語学習への関心)に関して、上位群>下位群の有意な差が示されたが、リスニング得点においては有意差が示された因子はなかった。本研究の結果はEFL学習においては動機づけの果たす役割が大きいことを改めて認識させるものである。また、第II因子(英会話力特別視)は日常の英語学習が英会話能力の発達に役立つことを学習者に納得させる必要性を示唆している。
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