研究実績の概要 |
平成26年度は、「日本人EFL学習者のリーディングに関する信条の研究」を実施した。非英語専攻の公立大学1年生254名を分析対象とし、リッカート尺度の質問紙(5:当てはまる、4:だいたい当てはまる、3:どちらとも言えない、2: あまり当てはまらない、1:当てはまらない)への回答はそのまま得点化された。因子分析の結果、第Ⅰ因子(ストラテジー)、第Ⅱ因子(自己効力感)、第Ⅲ因子(動機づけ)、第Ⅳ因子(英文分析)が抽出された。更に抽出された各因子の標準因子得点に基づいて、TOEICのリーディング得点に基づく熟達度レベルとの関係から分散分析を行った結果、第Ⅱ因子(自己効力感)において上位群>下位群の有意な関係が見られ(F(1, 252)= 19.67, p =.00, η2 = .07)、上位群は自己の英語読解能力に対する評価がより高いことが示された。また、第Ⅳ因子(英文分析)においても上位群<下位群の有意な関係が示された(F(1, 252)= 15.08, p =.00, η2 = .06)。これは、リーディングの過程における文構造の分析が自動化されていないために読解プロセスにおける意識が内容よりも構造に向いているためではないかと推察される。次に、個々の質問項目に対する回答を上位群と下位群の間で比較した分散分析結果も上位群の自己効力感の高さと下位群の和訳に基づく分析的なリーディング観の強さを有意に裏付けており、(1)上位群は学習者の自己効力感が高いこと、(2)下位群は和訳に基づく分析的なリーディング観を有していることが確認された。。
|