研究課題/領域番号 |
25381220
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
磯部 錦司 椙山女学園大学, 教育学部, 教授 (40322614)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 美術教育 / 自然観 / 生命観 / 造形表現 / 図画工作 / 造形教育 / 国際情報交換 / オーストラリア:チェコ:デンマーク:タイ |
研究概要 |
本研究は、内発的な生命観・自然観の構築を主題に、美術教育の展開と方向を示そうとするものである。国内と、ヨーロッパ、オセアニアにおける学校教育の連携から収集した実践記録及び研究実践において、臨床的に造形活動の機能を明らかにし、その活動のプロセスにある生命観・自然観の変容と教育的効果を示し、日本文化的、ポストモダン的な生命観・自然観(生命主義的自然観)をコアとした美術教育について6つの段階から構想し、文化的領域の形成とその実践内容を意味づけていく。本年度においては以下の内容において取り組んだ。 ○日本の現代生命哲学と経験主義的自然観を拠り所に、芸術活動に作用する状況的、統一的、包括的,関係的な自然観(生命主義的自然観)について、その内容を意味づけ示した。 ○その自然観の構築をもたらす造形活動について、6つの段階、「環境との一体化」「生活世界の芸術化」「個の想像的リアリティー」「社会的リアリティー」「生の共有」「社会的創造活動」を示し意味づけた。 ○その活動の事前事後で自然や生命に対する感じ方や意識がどう変容していくのかを実践事例のプロセスと作品内容から検証し、自然観の変容を生み出す造形活動について分類をおこなった。 ○「2001年~2013年までの国内と海外での実践記録の整理と分析」「構想に基づいた実践研究の実施と事例の収集」、「国内における図画工作・美術科教育に関わる実践の調査と資料の収集」を継続しおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
○国内における現地での実践研究、資料の収集は、予定していた中国地方(鳥取、米子)、北陸地方(富山)において実施し成果を得ることができた。東北での実施は調整が困難なためできなかったが、郵送において資料収集をおこなった。 ○次年度に計画していたオセアニアにおける資料の収集、実践研究を今年度おこなったた。 ○2003年~2013年までの海外との連携による実践記録の整理と分析、2001年~2013年までの国内での実践記録の整理と分析をおこなった。また、構想に基づいた実践事例の継続と構築を国内の園・学校においておこなった。 ○タイでの実践研究が加わり調査を拡大した。
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今後の研究の推進方策 |
○2013年行ったシドニーでの実践と資料の収集を今年度も継続し行う。タイ、チェコでの実践の調整を図り計画する。 ○国内における実践の調査と資料の収集は、前年度において協力を得た幼稚園・小中学校において、その後の1年間の実践の資料(指導案、映像)を収集し、新たに前年度の構想に基づき実践を展開する。 ○文献によるこれまでの拙著、拙論の整理と、その参考文献・資料、及び新たな教育学と芸術教育学に関わる文献から発展させ、実践の構想と造形活動の理論化を図る。 ○2012年までと2014年の実践事例で収集した資料について臨床的分析を行う。 ○実践の事前事後による作品の分析から、表現内容の変容を分類し、国内の実践資料で収集した「実践の展開記録、指導案、映像資料」からカリキュラムを構想する。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査地域の拡大に伴う旅費と「その他」の費用が予算より多く発生したが、備品、消耗品は、実践研究内容の変更によって使用しないものがあった。 調査研究の拡大により海外出張費に「次年度使用額」をあてる。国内は郵送等の取材を中心に旅費を削減し、予定しているオーストラリアでの実践と資料収集のための旅費に使用する。また、調査に伴う謝礼、人件費が必要となる。消耗品は、前年度購入してあるものを継続的に使い不足したものを購入する。備品の購入はない。
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