研究課題/領域番号 |
25381222
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
武田 啓子 日本福祉大学, 健康科学部, 准教授 (70548685)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 生活支援技術 / アセスメント / 腰痛予防 |
研究概要 |
生活支援技術教育の学習モデルに基づいたハンドブックの作成に向けて、以下3側面から検討した。 生活支援技術を構成する原理原則として、次の3点を整理した。①認知、精神運動、情意領域の内容で構成された生活支援技術(基本技術)の修得、②ICFの視点をふまえた対象の理解、③人間性および価値観の基盤となる介護観の確立。そして、介護実践に向けて必要な項目として、①基本技術を修得する、②あらゆる場における支援方法を考える、③利用者の状況に応じて支援方法を判断する、など8点を整理した。また、生活支援技術の原理原則をふまえた介護実践を行うためには介護アセスメント能力が必須であることを再確認した。 生活支援技術の移動に関する技術項目の学習内容について、生活支援技術は経験や履修した学習内容から得る既有知識の有無により、学習者の学びやすさは影響を受ける。そのため、基本的な技術項目から応用できる内容につながるよう、ポジショニング、自然な動き、体位変換、移乗、移動へと進度を構成した。 介護福祉士養成課程の主要テキストにおいて、腰痛を従来の生物学的損傷群と捉えた内容がほとんどであるため、自身の腰痛要因を適切に理解し対処する腰痛予防に関する学習内容の構築に向けて、介護福祉士616名を対象に質問紙調査票を郵送依頼し腰痛の実態調査を行った。結果、腰痛有訴率は77.1%と高く、腰痛は身体とともに心理社会的要因と関連した。しかし、心理社会的要因への認知度は身体的要因よりも低かった。 上記3点の結果から、生活支援技術の原理原則と介護実践の関係性を理解するために、アセスメントを含む介護過程と生活支援技術を一体化し、身体心理社会的腰痛要因を認知できるよう姿勢認知教育プログラム内容を含めたハンドブック(案)を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
卒業するまでに必要とされる生活支援技術を修得するために,学内と介護実習で共通して活用できる教材としてハンドブックの作成に向けて,以下の内容を検討することができた。まず,生活支援技術構成要素および介護実践の必要内容を吟味した結果,アセスメントを要する介護過程は必要不可欠であることが再認識できた。そして,生活のあらゆる場面に伴う移動技術の学習内容の進度を検討した。さらに,多くの介護者が発症する腰痛を鑑みて,介護者の腰痛予防に関する学習内容を抽出するために,質問紙調査を行った。結果,腰痛の心理社会的要因への認知度は身体的要因よりも低いことが明らかとなった。 以上より,今年度はアセスメントを含む介護過程と生活支援技術を一体化し、身体心理社会的腰痛要因を認知できるような学習内容を含めたハンドブック(案)を作成した。
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今後の研究の推進方策 |
ハンドブック(案)を冊子とし学生に無償配布し,授業および介護実習で活用する。最終的にそれらの活用状況に対して,実践的検証を行う予定である。結果に基づき,学習内容および評価尺度の妥当性を検証し,効果と課題からハンドブックを修正する。 腰痛予防について,昨年度の結果をふまえて具体的な姿勢認知教育プログラムを考案する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
ほぼ計画通りに遂行した結果,少額の未使用額が生じた。 次年度の研究費について,学生を対象に生活支援ハンドブックを活用し,評価するための資料費,印刷費が必要となる。また,今年度の研究成果を介護福祉学会等で発表するための参加費および旅費が必要となる。今年度の調査結果をふまえて腰痛予防教育プログラムを作成するにあたり検討会を設けるため,専門識者への謝金および交通費なども必要となる。
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