研究課題/領域番号 |
25381231
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
小畑 千尋 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (20364698)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 音痴克服 / 歌唱指導 / 内的フィードバック / 教員養成 / 児童 |
研究概要 |
本研究の目的は、教員養成における児童の内的フィードバック能力(自分自身の歌唱の音高・音程が合っているかどうかについての認知)の獲得と心理面に着目した音痴克服歌唱指導プログラムの開発と適用である。 研究初年度にあたる平成25年度は、小学校教員養成課程に在籍する大学生約480名(A大学の学生約250名、13年前の同調査を実施したB大学の学生約150名、私立大学C大学の学生約80名)を対象に、自身の音痴意識に関する質問紙調査を行った。質問紙の内容は、本申請者が開発した音痴意識を問う調査(小畑 2002)に加え、歌唱に対する意識調査(小畑 2011)の項目により構成されている。現在、項目間の関連についての詳細な分析を行っている。 また、声によるピッチマッチと内的フィードバックの変化を明らかにするために、研究協力校A小学校の児童約80名を対象に3年間実施した歌唱の縦断的研究の成果について、国際シンポジウム(The 9th Asia-Pacific Symposium on Music Education Research)において発表を行い、海外の研究者と意見交換を行った。 さらに、歌唱指導において内的フィードバックに着目した指導を行うことが有効であることから、教員養成大学に在籍する聴覚障害学生を対象とした内的フィードバック能力の獲得を目指した歌唱指導を実施した。指導を通して、対象者の内的フィードバック能力の向上、歌唱に対する意識の変化がみられた。この結果は、日本音楽教育学会第44回全国大会に於いて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小学校教員養成課程の学生を対象とした音痴意識に関する質問紙調査を計画どおり遂行することができた。また、児童の歌唱における内的フィードバック獲得に関する縦断的な研究の成果について、国際学会で発表した。 以上より、本研究がおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に実施した質問紙調査の結果から、多くの質問項目において13年前の結果と有意差が認められなかった。これは、極めて興味深い結果であり、より精緻な検証を行うため、平成26年度においてもA大学の小学校教員養成課程の学生約250名を対象に同質問紙調査を行う。また、「音痴克服指導者養成研究会」を立ち上げ、参加を希望する教員志望の学生を対象とした音痴克服指導者としてのトレーニングに着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
国際学会参加のための海外渡航費(航空券)が、概算よりも安価であったため。 本年度実施した音痴意識に関する質問紙調査では、13年前の同質問紙調査とほぼ同じ傾向がみられるという極めて興味深い結果となった。この調査結果について、より精緻な検証を行うため、当初の予定にはなかったが、平成26年度も同様の質問紙調査を実施する必要がある。平成25年度に生じた次年度使用額は、この質問紙調査の実施と分析のための費用に充当する。
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