研究課題/領域番号 |
25381231
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
小畑 千尋 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (20364698)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 音痴克服 / 歌唱指導 / 内的フィードバック / 教員養成 / 児童 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、教員養成における児童の内的フィードバック能力(自分自身の歌唱の音高・音程が合っているかどうかについての認知)の獲得と心理面に着目した音痴克服歌唱指導プログラムの開発と適用である。 研究2年目にあたる平成26年度は、まず昨年度実施した小学校教員養成課程に在籍するA大学の学生約250名を対象とした学生自身の音痴意識に関する質問紙調査の結果について分析を行った。その結果、自分自身のことを「非常に『音痴』」に8%、「少々『音痴』」に37%の学生が回答しており、合計45%の学生が自分自身を「音痴」だと意識していることがわかった。また、2000年の同質問紙調査結果(小畑 2002)とを比較すると、「音痴」意識を持つ学生の割合に大きな違いは認められなかった(以上の結果については、日本音楽教育学会第45回全国大会に於いて発表した)。この他にも両調査の結果において有意差が認められなかった質問項目が多かったことから、より精緻な検証を行うため、本年度もA大学の学生約250名(昨年度とは異なる学生)を対象に、学生自身の音痴意識に関する質問紙調査を実施し、分析を行っている。 また、昨年度に引き続き教員養成大学に在籍する聴覚障害学生を対象とした内的フィードバック能力の獲得を目指した歌唱指導を実施した。対象者の内的フィードバック能力の向上、歌唱に対する意識の変化については、国際学会(The 31th ISME World Conference)で発表を行い、海外の研究者と意見交換を行った。 さらに、教員養成課程の学生6名を対象に内的フィードバックに着目した歌唱指導方法を指導し、彼らがそのスキルを用いて小学6年生4名に対して継続的な歌唱指導を試みた。現在これらの指導過程について、詳細な分析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、小学校教員養成課程に在籍する大学生を対象とした学生自身の音痴意識に関する質問紙調査を実施した。また、内的フィードバックができるための歌唱指導方法を教員養成課程の大学生を対象に指導し、実際にその指導スキルを用いて学生が児童に指導を実践した。さらに国内学会・国際学会での発表を計画どおり遂行することができた。以上より、本研究がおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、教員志望の学生を対象とした音痴克服指導者としてのトレーニング、及び音高・音程を正しく歌うことのできない児童に対する指導実践をとおして、指導の有効性について検証を行い、指導モデルを作成する。さらに、この指導モデルを用いた他大学の教員による教員養成課程の学生を対象とした指導実践から、指導法の検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会参加のための海外渡航費(航空券)が、概算よりも安価であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
初年度実施した音痴意識に関する質問紙調査の結果から、当初の予定にはなかったが、平成27年度も同様の質問紙調査を実施し、より精緻な分析を行うことが必要となった。本年度に生じた次年度使用額は、平成27年度のこの質問紙調査の実施と分析のための費用に充当する。
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