研究課題/領域番号 |
25381232
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
根津 朋実 筑波大学, 人間系, 准教授 (50344958)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 宮坂哲文 / 教科外 / 特別活動 / 禅 / 集団 / 人間形成 |
研究概要 |
この研究課題は、教育学者、宮坂哲文(みやさか てつふみ 1918-1965)の初期論考に注目し、戦後の教科外活動の源流を探るものである。特別活動に代表される戦後の教科外活動は、実践の豊富さに比べ、理論的、歴史的な検討が今なお不足している。この状況を改善し、教科外活動研究の専門性を高め、学術的な視野を拡げることが、本研究課題の目的である。 第一年次は、課題(1)「戦中期から戦後初期の宮坂哲文の論考を包括的に収集整理する。既存の史料を出発点とし、文献を渉猟する」を遂行した。具体的には、データベースや先行研究の記載を用い、関連文献のリストを作成し、文献の入手に努めた。主たる研究上の問い(Research Question、RQ)は、RQ1「初著『禅における人間形成』以前に、宮坂哲文はどのような論考を著していたのか」、および RQ2「それらの論考は、『禅における人間形成』と、どういう関係にあるのか」だった。 RQ1への答えとして、『禅における人間形成』の公刊に先立ち、戦中から戦後にかけて数点の雑誌論文が発表されていた事実を見出した。それらの多くは各種の研究助成を受け、いわゆる「統制雑誌」を中心に発表され、戦時色の濃い内容だった。RQ2については、『禅における人間形成』の各章と、収集した公刊論文との異同を比較対照した。その過程で、戦後『禅における人間形成』から除かれた論考や叙述の存在が判明した。戦時体制下の「統制雑誌」で発表された文章が、戦後に単著にまとめられて公刊される際、とくに「集団」や「禅」を扱った部分が改変されていた。 以上の検討成果は、関連する学会大会で発表した。また、学会発表の成果をもとに、学術論文を執筆した。引き続き第二年次は、課題(2)「哲文が自認した父からの影響を考慮するため、父喆宗の文献も収集する」に着手する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一年次の研究実施計画は当初の予定どおり進捗し、十分な研究成果を挙げたといえる。したがって、研究の目的は順調に達成されつつあると判断できる。ただし、第一年次の後半(12月末から約3か月間)、所属機関(筑波大学人間系)の研修休業(サバティカル)を取得したため、研究費を一部執行しなかった。これは次年度以降の研究経費として有効に活用する予定である。 以上の状況を総合的に勘案し、「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、課題(2)「哲文が自認した父からの影響を考慮するため、父喆宗の文献も収集する」を遂行する。既に基礎資料の作成に着手している。研究計画の変更や課題となる事項は、現時点ではない。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)第一年次終了時よりも前に、研究課題を十分に達成したため。 2)所属機関(筑波大学人間系)のサバティカル制度により、2013年12月26日から2014年4月4日まで研修休業を取得し、この間は研究を一時中断したため。 次年度の物品費(主に研究資料)等に充て、研究の充実を図る見込みである。
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