研究課題/領域番号 |
25381233
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
小林 陽子 群馬大学, 教育学部, 准教授 (60403367)
|
研究分担者 |
岳野 公人 滋賀大学, 教育学部, 教授 (70313632)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 家庭科教育 / 連携 / ネットワーク / 教員養成 / 技術・家庭 |
研究実績の概要 |
本研究は、家庭科教員の連携能力を含めた専門的力量を高めるカリキュラム開発を行うことを目的としている。現在、家庭科教員のおかれている状況は、一校にひとり配置が一般的であるため、職務上の課題を分かち合う同僚の不在、成長のためのモデルとなるメンターの不在など、キャリア発達の視点から見れば、重大な問題を抱えていると言える。したがって、本研究テーマである連携は、家庭科教員にとって焦眉の課題であると考える。 平成27年度は研究目的を達成させるために、以下の2点を計画し遂行した。 1点目は、関東地方で働く家庭科教員約20名に対して、平成28年度に行う質問紙調査のための聞き取り調査(予備調査)を行ったことである。平成26年度の調査で明らかになった中堅家庭科教員の積極性を検証するほど、中堅の被験者が集まらず、苦労しているところであるが、この結果は、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによってまとめ報告する予定である。聞き取り調査を行ったことで、「成功した連携能力形成プロセス」と「失敗した連携能力形成プロセス」を明らかにすることができ、個人的資質とみなされてきた連携能力を解明することにつながると考える。 2点目は、本研究の連携を教員が取り組むことによって、教員だけではなく授業を受ける生徒にどのような影響を与えるのか授業実践研究を継続的に進めたことである。平成27年度は、平成26年度の中学生のものづくり学習に対する意識の変容につづいて、中学生の集中状態について考察を深め、論文化した。連携に関する授業実践研究を進めたことで、連携は、教員だけではなく、児童・生徒にも意義あることが明らかになってきた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の現在までの達成度は、やや遅れていると考える。 平成27年度は、ようやく家庭科教員から聞き取り調査をすることができた。しかし、平成26年度で明らかにした家庭科教員の連携能力の実態から、中堅者は初任者やベテランと比べて、家庭科教育に対する意欲やネットワーク形成に対する積極性が高く、連携能力を明らかにするためには中堅者に焦点を絞る必要が出てきた。それにもかかわらず、中堅者の被験者がなかなか集まりにくいのが現状である。現在までの進捗状況がやや遅れている理由のひとつであると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の今後の推進方策について以下に述べる。 まず、平成27年度に実施した聞き取り調査の結果を早急に修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによって整理し、家庭科教員の「成功した連携能力形成プロセス」と「失敗した連携能力形成プロセス」を明らかにする。 つぎに、聞き取り調査から示された連携能力形成プロセスに基づき、質問紙を作成し、全国を8ブロックに分け、各ブロックから中学校80校程度を抽出し、質問紙調査を実施する。 さいごに、連携能力を高めるためのカリキュラム開発を行い、本学で実施されている「教科教育長期研修院」のなかで実施し評価をする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究実績の概要で示したように、平成27年度にようやく聞き取り調査が終了した。これからアルバイトを雇用し、資料整理を行ってもらい、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによって家庭科教員の連携能力形成プロセスを明らかにする。資料整理のためのアルバイト雇用費(4人×5日間)がまだ使用されていないため、次年度使用額が生じた。 また、質問紙の全国調査も今年度に持ち越されたため、この郵送費代が使用されておらず、次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
理由に示したように、聞き取り調査資料整理のためのアルバイト雇用費と、全国調査のための郵送費代に使用する。
|