研究課題/領域番号 |
25381235
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
宇佐見 香代 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (20294275)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 生活科 / 総合的な学習の時間 / 奈良女子大学附属小学校 / しごと学習 / 教師のカリキュラム開発力 |
研究概要 |
今年度は、奈良女子大学附属小学校(以下附小)の「しごと」学習(「総合的な学習の時間」に相当)の参観とそこで記録した授業の分析を行い、そこで展開されている指導法やカリキュラム開発の特質を明らかにした。これをふまえ、生活科・総合的な学習の時間の領域で、充実した実践を創り出している教師の指導力・指導性の構造解明を試みた。 具体的には、奈良の附小の杉澤学教諭の学級5年月組~6年月組で展開されていた「自分たちのくらしとエネルギー」を考える「しごと」学習を追いながら、子どもが自律的な探究学習を進めて行く時の学習展開の豊かさとそのカリキュラムの意義を考察した。 この学習では、体験学習(合宿)、調べ学習(図書、ネット情報や記事などの資料収集)、調査学習(フィールドワーク、インタビュー、質問紙調査)、番組作成と発信など、多くの活動が取り込まれ、このような活動を通じて子どもたちは自律的に学びながら、自らの問いを創り出し、その問いにそった探究を進めて自分の意見を創り出していた。ここでは、子どもの生活に寄り添い、子どもと共に創り出していく学習の展開そのものが、創造的カリキュラムの創出につながっていることがわかる。子どもたちはそれそれの生活経験や独自学習に反映されている個々の子どものこだわりなどを基盤として、それぞれの学習を自律的に深めていくので、自ずとその独創性や創造性が発揮される。それらを、学級の場で相互に持ち寄って進めていく奈良の学習法による共同的な学習の展開の中には、あらかじめ想定できない学習の発展が見られることがある。学習の行き詰まりや浅さには適宜指導を加えることは言うまでもないが、そのような子どもと共に作る柔軟なカリキュラム展開のなかには、教師主導のカリキュラムにはない学習の質や豊かさがあることが指摘できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学会発表のために、研究成果としてレジュメにまとめる作業は行ったが、学術論文としてまとめる時間がなく、研究成果として公表に至っていない。また、この成果を次年度の埼玉大学の教員養成教育へと還元するための準備を行ったが、その成果もまとまったものとは言えないので、次年度の準備も含めて早々に作業を行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
上記の状況のように、やや研究計画より遅れを生じているので、今後は研究計画を具体的にスケジュールに載せ、申請課題の研究計画の展開を促進したい。
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