本研究の目的は、養護教諭特別別科における実践的指導力を育成するためのカリキュラムの構築をすることである。 健康診断演習では、模擬演習、附属小中学校演習、市内小中学校演習の順序性により講義内容を組み立てた。その結果、模擬演習の学びと【児童生徒理解と指導】は市内小学校演習に、【検診のコーディネート】は市内中学校演習に活用されていた。また、附属小中学校演習での学びは校種の異なる学校で応用されていた。この結果から、健康診断演習の順序性は有効であり、演習後の省察やシェアリングを通して、既習知識を応用することが実践力となっていることが考えられた。 養護実践研究の講義は通年で行い、2月に研究発表会を行った。論文作成後、学会での口頭発表、学会誌への投稿により、研究的力量を形成できることも示唆された。 1年制のため先輩との交流は少なく、学生は1年間の学修をイメージしにくいことが、面談により分かった。このことから、学生が見通しを持ち、自主的に学ぶことができるための資料が必要であると考えた。そのため、養護教諭特別別科非常勤講師(2名)、小学校長(1名)、現職養護教諭(2名)、学生(6名)で組織し、「養護教諭になりたい学生のためのノートづくり」を行った。研究期間終了後になるが作成したノートは、平成28年度入学生に配布し、その活用状況を調査する予定である。 研究全体を通して、1年間を見通したカリキュラムデザインの重要性が示唆された。このことは、学生が学びの見通しを持つことにも繋がり重要である。専門科目を関連させ、講義と演習、演習と演習、養護実習を意図的に横断的に関連付け、統合して考える時間が必要である。1年制の養護教諭特別別科において実践的指導力を育成するためのカリキュラムにするには、科目の講義内容を全体的に把握し、系統的な関連、内容の精選を図る必要がある。
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