研究課題/領域番号 |
25381246
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
寺尾 健夫 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (70217412)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歴史教育 / 構築主義 / 歴史認識 / カリキュラム / 単元開発 / 授業構成 / 米国 |
研究概要 |
本年度(平成25年度)は、まず(1)開発しようとする小・中一貫歴史カリキュラムの教育内容についての研究として、社会構築主義の社会学、歴史学で新しく研究され、再定義されている「紛争(戦争)」や葛藤、プライバシー、民族、ジェンダーといった現代社会を理解する鍵概念に関する定義や理論を邦文文献および米国や英国の文献を手がかりにして明らかにした。まだ十分に明らかにできたとは言えないが、研究作業としてさらに、これらの概念や理論を小・中学校の子どもに、歴史認識や社会的な見方・考え方を育成する観点から学習内容選択の視点として整理した。また(2)社会構築主義に基づく歴史教育研究を先進的に行っている米国の2つの事例について資料を収集し、そこに含まれている歴史カリキュラムの構成原理や授業構成原理を明らかにした。そのひとつは、史料や映像資料を教材として上記の鍵概念を子どもに理解させようとしているスタンフォード大学のS.Wineburg、それにインジアナ大学のK.Bartonの研究である。もうひとつは、米国の中東歴史カリキュラムプロジェクト「生きている歴史!」である。最新バージョンの単元キットを収集し、分析することで、社会構築主義に基づく歴史カリキュラムの基本的な構成原理および民主主義社会の鍵概念の育成を可能にする歴史学習のための内容構成原理を一定度明らかにできた。しかしながら研究上の未解明な点も残された。また新たに研究しなければならない課題も明らかになった。たとえば具体的な単元展開の方法、教科書や資料教材との関連を踏まえた単元の実際的な指導原理などについては十分明らかにできるまでには至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
邦文文献を手がかりにして社会構築主義に基づく社会学、歴史学において現在研究され紗宇定義されている紛争(戦争)や葛藤、プライバシー、民族、ジェンダーなど現代しゃかいを理解する鍵概念になる者の解明については、当初計画で予定していた目的の約8割を達成できた。また、米国の歴史教育研究や歴史教育プロジェクトの事例研究については、予定していた資料の収集ができ、これらを分析することによって現代社会を理解する鍵概念の理解を基にした歴史カリキュラムの構成原理や授業構成原理を8割方明らかにできた。しかし、構築主義に基づく歴史学習で重要となる、子ども(学習者)自身の自律的な学習を可能にする具体的単元展開の方法や教科書や資料教材などとの関連を踏まえた単元の実際的指導原理については、研究の具体的な作業見通しは明らかになったが実際の分析、解明作業は十分には進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度で残されている未解明な部分(当初目的の約2割)については継続して解明する。また、研究の手順としては具体的に明らかになったが、実際の研究作業としては子ども(学習者)自身の自律的な学習を可能にする具体的単元展開の方法や教科書や資料教材などとの関連を踏まえた単元の実際的指導原理の分析と解明については、研究作業を加速して進める。 平成25年度の研究成果を踏まえ、平成26年度の研究として計画している(1)米国の新たなカリキュラム事例に基づく歴史カリキュラムの内容構成原理の解明、(2)具体的な単元開発や教材開発の方法の解明、(3)単元指導の具体的・実際的方法の解明、(4)米国ウィスコンシン大学のG.Schurmanとの国際紛争の民主的開発方法について学習する日米共同の歴史学習単元開発研究(共同研究の初年度)を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
米国の歴史カリキュラム事例および歴史教育プロジェクトの分析の具体的作業が年度内に終了せず、残された作業にかかる資料、文具類の費用が残った。 研究所年度の平成25年度に残った、米国の歴史カリキュラム事例および歴史教育プロジェクトの分析の具体的作業を平成26年度で継続して遂行する計画である。その具体劇作業で必要となる資料、文具類の費用に充当する。
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