研究課題/領域番号 |
25381246
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
寺尾 健夫 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (70217412)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 構築主義 / 歴史教育 / ジェンダー教育 / 平和教育 / 民主主義 / 社会科教育 |
研究実績の概要 |
本研究年度の平成27年度は、平成25年度と26年度の研究で明らかにした構築主義歴史カリキュラムの構成原理(内容構成原理、学習原理、授業構成原理)を基にして、小・中学校を一貫して、現代的視点から子どもの自律的な歴史認識を発展させる歴史カリキュラムの基本構造を明らかにした。また、小学校から中学校にわたる、系統性と段階性を備えた単元と具体的な授業を開発した。開発した単元における学習のテーマは「男女平等の実現とジェンダー問題」と「広島への原爆投下の是非をめぐる政治的、倫理的判断」である。当初の計画では、小学校、中学校の社会科教師の協力を得て、開発した単元の授業を実施してその有効性を検討する予定であったが諸般の事情で実施できなかった。そのため、授業の実施と有効性の検討は次年度の平成28年度に行うよう計画を修正した。 単元および授業開発としては、本年度はジェンダーに焦点を当てた基本的人権の保障に関する単元、戦争に焦点を当てた国際紛争解決の方法を追求する単元を開発した。その研究の一端は、次の二つの論文として結実している。 ①寺尾健夫(2015)、「社会問題に焦点を当てた歴史の批判的解釈学習の論理」、『福井大学教育地域科学部紀要』第6号、217-258頁。②寺尾健夫(2015)、「時代の政治思想や倫理的判断に焦点を当てた歴史解釈学習の原理」、『福井大学教育実践研究第40号、26-36頁。 この他、本年度は完成にまでは至らなかったが、単元「魔女裁判と集団心性~出来事の生成における社会心理学的原理」と「多様な史資料に基づく出来事解釈の方法」を途中まで開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初に計画していた単元開発の単元数が約2/3の2個にとどまっている。これは必要な史資料の収集に手間取ったこと、単元や授業の構成原理の解明が当初考えていたよりも難しかったということが原因である。今後の研究遂行に当たっては必要な修正を加えながら、目的の達成に向けて円滑な史資料収集と研究作業の効率化を図っていく。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、現代的視点から歴史理解を発展させるための歴史カリキュラムの開発に向けて、本研究のの課題に関わる構築主義歴史カリキュラムの構成原理、内容構成原理、授業構成原理を総括して明らかにする。またカリキュラムの開発に即応して構築主義歴史学習の単元開発、授業開発をさらに進め、実用的なプランにまとめる。開発した単元や授業プランの2ないし3つは小中学校の現場で実践し、その有効性を検証する。平成28年度はこの課題のもとでの研究の最終年度に当たるので、明らかになった歴史カリキュラムを体系性と具体性を備えた小中一貫歴史カリキュラムとしてまとめる。研究の成果は社会科教育関連学会で発表するとともに、本研究課題の研究期間の総まとめとして研究成果報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の遅れによって未使用の金額が生じたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度の研究遅れのために使用しなかった予算額については、未実行の研究作業を来年度の研究計画に追加して予算執行計画を修正し、研究目的の達成を完遂できるように繰越した予算額を適切に使用する予定である。
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