研究実績の概要 |
本研究の目的は,リアリスティック・アプローチのALACT(Action, Looking back on the action, Awareness of essential aspects, Creating alternative methods of action & Trial)モデルに基づいて,実践的指導力を育成する家庭科教員養成の授業モデルを開発することである。具体的には,先行研究の分析・検討を行い,実践的指導力を育成する授業モデルを開発し,授業の実施・評価から改善した授業モデルを提案することを目指している。 今年度は,施行実践を行った授業の評価を中心に研究を進めた。具体的な研究内容は,以下のとおりである。まず,昨年度に実施した受講者対象の意識調査の分析をさらに進め,成果と課題を明らかにした。そこで明らかになった課題を解決するために,授業方法の再検討を行い,授業改善を行った。その結果,実践的指導力を向上させるためには,まず受講者自身が自分の指導力に関する省察を深め,課題を明確に把握することが必要であることが明らかになった。今後の課題として,授業を省察する力の育成について検討する必要性が示唆された。また,課題の解決に向けた手立ての獲得については,これまでに学んだ知識を振り返り,新たな視点を獲得する機会を提供することが必要であることが明らかになった。教科専門教員と教科教育教員が連携して指導に当たることにより,受講者にとっては,大学で既に学んだ既習事項について振り返りができること,さらに,学びが不十分であった箇所について知識を補強することにより,指導内容や指導方法に関する手立てを得ることにつながったことがわかった。また,その一方で,本授業を担当した教員にとっても,自身が担当する他の専門科目の指導内容や指導方法を見直すきっかけになったことが明らかになった。
|