本研究の目的は、2012年に「消費者教育の推進に関する法律」が制定されたことをふまえ、「安全」かつ「持続可能」な消費者市民社会の形成者として、子どもたちにどのような力の育成が必要か、グローバルな視点から検証し、その力を育むことができる教員養成カリキュラムを検討することであった。 研究成果としては、国内の教員養成系大学・学部を中心とした法教育・消費者教育関連のシラバス調査によって消費者市民教育のカリキュラムの検討を行った。さらに国内のインターナショナルスクール・海外(豪州・北欧)の先駆的な取り組みの視察及びカリキュラム調査などから具体的な課題を把握し、子どもたちに育成したい力の検討、子どもの発達段階にあわせた教育課題の明確化及び、リーガル・リテラシーを育む消費者市民教育の教材開発と試行的教育実践およびその評価を行なった。 研究最終年度の2016年には、韓国大田で開催された第23回国際家政学会にて「Consumer Citizenship Education for Fostering Consumer LegalLiteracy」の題目でポスター発表を行った。コンシューマー・リーガルリテラシーの道徳的概念や要素について明らかにし、それらを育む具体的な学習プログラムを提案した。4年間の研究成果のまとめもかねて、教員養成の大学授業で活用できる副読本を作成した。まず2016年12月に試行版を作成し、授業で教材評価を行い、改善版を2017年1月に発行した。本教材は2017年後期の「消費者教育論」授業のテキスト、教員免許更新講習、現職教員研修などの資料として活用する予定である。 リーガルリテラシーを備えた消費者市民の育成は、学校教育における消費者教育のあり方にかかっている。本研究は消費者教育のモデルとして研究成果を広く発信できたと考えている。
|