研究課題/領域番号 |
25381258
|
研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
吉村 雅仁 奈良教育大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (20201064)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 複言語主義 / 外国語教育 / 教員研修 / 言語意識 / 価値観・態度 |
研究実績の概要 |
前年度から延期していた,欧州からの講師招聘及び教員(志望学生含む)対象の研修を奈良教育大学において実施した。講師はフランスストラスブール大学から招聘したクリスティーヌ・エロ氏,アンドレア・ヤング氏と本研究代表の吉村の3名,主催は奈良教育大学,後援は奈良県教育委員会,日程は2015年8月20~22日の3日間であった。 研修に先立ち,講師3名はメールのやりとりや来日後の打合せにおいて,研修の目標,時間枠,内容,方法,評価等に関する議論を重ねた。まず時間枠に関しては,この研修目標が教員の価値感・態度・意識変容に関わるため,これまでのような学校の職員研修の枠組みとして一般的な3時間程度では足りないことで合意し,今年度は時間を大幅に増やし,3日間連続で計15時間程度を設定した。また,現職教員や教員志望学生の参加可能性を考慮し,時期は夏休み開始直後とした。内容及び方法は,フランスや日本で我々が実際に使用してきた多言語を扱う教材の紹介と体験及びグループあるいは個人での議論,振り返り活動を中心とするワークショップ形式である。評価方法としては,ICレコーダーやビデオカメラで受講者の活動を記録し,彼らの意識や態度がどのように変容するかをその記録を元に考察することとした。なお,使用言語は英語とした。これは,複言語能力育成のための基本的な力量として外国語運用能力は前提となると判断したためである。参加する教員の大半は英語を担当するため,英語の授業における複言語能力育成もこれにより可能になると考えたのである。 この研修の元となるプログラムについては大学の紀要に掲載し,研修の成果自体は,2016年度に国際学会等(EDiLiC)で発表予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年度に実施する予定であった教員研修(ワークショップ)がフランスからの研究協力者の事情で実施できなかったが,2015年度には当初予定よりも充実した講師,内容で開催することができた。 成果については,今年度の研修実施により,次年度の国際学会等で発表する予定となっている。研修実施が1年遅れたため成果発表も次年度に繰り越すということで,延長申請を行い既に認められている。
|
今後の研究の推進方策 |
上記のように,教員研修の成果については,2016年7月にハンガリージェールで開催されるEDiLiC国際大会において発表を予定すると共に,研修講師として招いた2名の研究協力者とともに米国で出版予定の書籍に執筆予定である。 また,本研究で得られる成果公開だけで終わらず,今後の方向性や課題も既に見えてきている。つまり,小学校の外国語活動に限定することなく,小学校の外国語活動から中学校の外国語教育への継続的なカリキュラム,評価規準,教員研修や教員の力量形成の枠組み等を今後検討する必要があるだろう。
|
次年度使用額が生じた理由 |
前年度予定していた教員対象ワークショップ(研修)がフランスからの招聘講師の事情により2015年度に延期となり,研究成果発表も1年ずれこむこととなったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
国際学会への発表申し込み・確定はすでに終わっており,7月の学会発表の旅費,宿泊費及びそれらに伴う消耗品等で使用する予定である。
|