研究課題/領域番号 |
25381259
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高塚 成信 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70132652)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | リーディング / 同一指示 / 言い換え表現 |
研究概要 |
平成25年度(初年度)は,中学校・高等学校・大学の英語リーディング教科書本文から,同一指示・「言い換え」表現を抽出,分析し,データベースを作成するとともに,それらを使って,日本人英語学習者(中学生・高校生・大学生)の英語リーディングにおける同一指示・「言い換え」表現理解時における問題点を調査検討し,次年度に行う予定の「言い換え」表現理解の指導シラバスと教材の開発,及び同一指示・「言い換え」表現理解能力測定テストの開発の準備を行った。 (1)平成26年度に行う予定の同一指示・「言い換え」表現理解の指導シラバスと教材の開発,及び同一指示・「言い換え」表現理解能力測定テストの開発に先立ち,同一指示・「言い換え」表現のデータベースを構築した。データベース構築にあたっては,中学校(3年),高等学校(3年),大学(2年)計8年間の英語リーディング教科書及びThe New York Timesの記事を選択し,その中に出現する同一指示・「言い換え」表現を抽出するとともに,分析分類した。 (2)その後,日本人英語学習者が,同一指示・「言い換え」表現を理解する際に,どのような問題に遭遇しているのかを,同一指示・「言い換え」表現の分類に基づいて作成したリーディング課題を与え,課題遂行中の思考プロセスを内省的プロトコルとして録画・収集し,分析した。 (3)その結果,代名詞による前方照応の同一指示は比較的容易に同一指示性を特定できるのに対して,例えばApple>the tech firm>the iPhone-makerに代表されるような,「固有名詞」についての前方照応,後方照応の説明的名詞句による同一指示・「言い換え」表現は,大学生でも困難を伴うことが分かった。 (4)このことは,同一指示・「言い換え」表現理解の指導シラバスと教材の開発にとって重要な示唆となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
管理職(副研究科長・副学部長)の仕事が予想以上に忙しかったが,できる限り研究にも時間を割くことによって,研究計画の大半を予定通り進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度(2年次)は,研究計画の第2段階へ進む。すなわち,前年度に検討した同一指示・「言い換え」表現について構築したデータベースおよび中学生,高校生,大学生に実施した同一指示・「言い換え」表現理解度調査の結果に基づいて,中学校(3年),高等学校(3年),大学(2年),計8年間一貫の同一指示・「言い換え」理解指導のシラバス(内容と方法)を開発する。同時に,同一指示・「言い換え」理解能力を測定する学年別テストを開発する。 まず,同一指示・「言い換え」理解指導シラバスの開発にあたっては,中高大で指導される語彙・文法項目との関連において,同一指示・「言い換え」を理解する際にどのような問題が生じる可能性があるのかをシミュレーションしながら,学年ごとに指導すべき内容と方法を開発し,年度の後半には,パイロット的に中学校,高等学校,大学1校ずつで実施し,教育プログラムの形成的評価により,問題点を洗い出し,必要な修正を加える。 また,同一指示・「言い換え」理解能力測定テストの開発にあたっては,開発するシラバスとの関係で,学年ごとに指導されることになる同一指示・「言い換え」表現が理解できるようになっているのか測定できるテストを作成する。年度の後半には,パイロット的に中高大,各1校ずつでテストを実施し,形成的評価により,問題点を洗い出し,必要な修正を加える。
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