研究代表者と分担者は、共同・分担して本研究目的の遂行に努めた。 研究代表者は、関西圏の福祉系高校教員との意見交換や聞き取りから高校福祉(科)教育と担当教員をめぐる現状と課題を踏まえ、教育目標・評価学会第26回大会(京都教育大学)の課題研究にて「日本の福祉教育の検討をふまえて」と題して報告し、高校福祉科教育における教育課程・内容や評価のあり方が国家資格「介護福祉士」の養成課程や国家試験合格に外部化している問題等を指摘、後期中等教育段階における福祉教育の課題を提起した。日本社会福祉教育学校連盟主催の第17回福祉教育研修講座(東洋大学)での意見交換に加え、関西圏の高校福祉科教員内の実践的な力量形成に不可欠な実践の共有・研修の場の必要性の観点から「FMe-Network 福祉マインド教育ネットワーク」(神戸市立六甲アイランド高校)のキックオフ・ミーティングに参加、同会の共同顧問を引き受けた。また深刻化する「子どもの貧困」をめぐって日本公共政策学会2015年度研究大会(京都府立大学)セッションⅡ「子どもの貧困と日本の未来」の討論者として参加し、学校教育・福祉教育課題を指摘した。 研究分担者は、関西教育学会第67回大会(佛教大学)にて「高校福祉科教員の現状と課題―青年期職業教育を担う教師としての資質・資格―」を発表し、「資格教育」化する高校福祉科教育について「青年期職業教育の観点」から相対化する必要性を論じ、福祉科教員自身が「資格取得」に集約させるのではなく、福祉科教育が生徒の中長期的キャリア形成に独自の価値をもつものとなるような教育実践を行う力量を形成すべきである点を指摘した。関連する「専門学校」教育と教員のあり方について、日本教師教育学会第25回大会(信州大学)、日本産業教育学会第56回大会(和歌山大学)にて報告し、「青年期職業教育」の観点から問うた。
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