本研究では、WEB上に用意した学修コンテンツに学生自身が能動的にアクセスし、継続的に学修成果を上げられるようにするシステムの構築を目指している。背景にあるのは、近年の大学・短期大学への進学率の増加によって引き起こされているマス化現象に伴い、じゅうぶんな動機づけがなされていない学生が増えており、学生全体の学修時間の確保が喫緊の課題となっているためである。そこで本システムにおいては、マーケティング分野で顧客との関係性強化に用いられている「ゲーミフィケーション」という概念を援用し、学修コンテンツ内にゲーム性を付与することで、日々のアクセスを促し、ひいては継続的な学修によって成績の向上を図り、さらなる動機づけによる正のスパイラルへ導こうとするものである。
ゲーム性の設計や実際の学修コンテンツの作成および実際のプログラム開発などを経て、昨年度にWEBサーバーの試験運用を開始した。アクセスログの解析や利用した学生アンケートを踏まえて、今年度は年間を通して安定的に運用することができた。登録者数290名に対して、1日当たりの平均アクセス数は前期(4月から8月)には291で、後期(9月から12月)は176であった。前期に数が多いのは、成績公開に伴い1000を超えるアクセスがあったためである。また、サイトの公開日から後期試験日まで253日中、各学生の平均ログイン日数は145日であり、57%のアクセス率であった。内訳としては、200日を超えてログインしていた学生数は83名いる一方、10日未満の学生は7名であった。
2016年においてメジャーなSNSと比較すると、本システムのアクティブ率(1か月で1回以上利用)は97.6%であり、LINEの96.6%、twitterの70.2%などと比較しても、能動的なアクセスを促すシステムとしては十分に機能している結果が得られた。
|