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2014 年度 実施状況報告書

コンピテンシーを育むPBL型の総合学習のカリキュラム開発

研究課題

研究課題/領域番号 25381271
研究機関東京電機大学

研究代表者

広石 英記  東京電機大学, 工学部, 教授 (80246652)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードPBL / カリキュラムデザイン / コンピオテンシー / プロジェクト / 社会構成主義 / ルーブリック / 社会人基礎力 / 学びの構造
研究実績の概要

本年度は、昨年度、私が編著者になって作成した教職課程履修学生向けのテキスト『教育方法論』で展開した中等教育段階におけるPBLの教育的意義の確認と、PBLの先進国である米国の初等中等教育のPBLの実態調査を実施した。
具体的には、日本PBL研究所主催の米国教育視察に同行しLake Elo Elementary,Avalon High school, Southside Family Charter School, Minnesota New Country school, Edvisions, Minnesota New Country School Elementary, Katherine Smith Elementary, New Tech Network, Bulldog Tech, Gateway High School, San Francisco community school ,Irvington High School,などのミネソタとサンフランシスコを中心に、エドビジョン型PBLとICTを利活用したPBLの実際を視察し、担当者および生徒にインタビューを実施して、その教育実態を調査した。その成果は、2015、1月に開催された日本PBL研究所主催の「PBL米国視察2014報告会」で広く教育関係者に成果報告を行うと共に、「PBL米国視察2014 報告書」の形で公刊した。
また成果の一部は、日本教育方法学会 第50回大会において「PBLの学び論1-PBLの学びの意義の複眼的考察―」として学会発表を行った。また、日本全国のPBLの先進的な取り組みを行っている小学校、中学校、高等学校の生徒を集めた成果発表会である日本PBL研究所主催の「PBLフェスタ2015」を私の勤務大学で開催し、PBLのより洗練された取り組みに関する有意義な情報交換会を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、高等教育機関では急速に浸透しつつあるアクティブラーニングの代表的な教育手法であるPBLの意義や成果を検証すると共に、今後、教育改革の主な対象となる中等教育におけるアクティブラーニングを推進するために、日本の中等教育に最適化したPBLのカリキュラムデザインを調査研究し、広くその成果を公表することを主目的として実施してきた。
その意味では、一昨年、教師教育用のテキストを編著者として公刊し、その中の私の担当章(15章中3章執筆)にて、PBLの意義やその意味を、教師を目指す大学生に公表できたことは、大きな成果と言える。
さらに、昨年度は、米国の中等教育段階のPBLの実際を丁寧に検証するために、ミネソタおよびサンフランシスコのエドビジョン型PBLを大規模に学校教育の根幹にすえた中学校や高等学校の訪問調査や、ICTの利活用とプロジェクトを融合させた高等学校のプロジェクトの実態を調査し、現地の教師や生徒にインタビューできたことは、日本におけるアクティブラーニングの中等教育への導入を本格的に行う際の問題点の洗い直しができたという意味で、有意義であった。
米国のPBLの調査研究に関しては、その報告会や報告書の形で公にするとともに、学会発表でもそれに関連した知見を紹介することで、本研究の目的を推進しつつある。
しかしながら、日程調整の関係で、国内のPBL実施校への訪問調査は、あまり進んでおらず、その意味で、日本の学校が特有にもっているプロジェクト型のアクティブラーニングの問題点の分析が、あまり進んでいないことは、今後の課題として、より意識的に取り組むべきだと考えている。

今後の研究の推進方策

海外のPBLの実態調査および文献調査は、ある程度順調に進んでおり、その成果は、教員養成用のテキストによって広く公開すると共に、学会発表を通じて、アクティブラーニングの中等教育段階への推進を模索している教育関係者との連携も順調に推移している。
ただ、PBLを①いかなる課題設定が、いかなるコンピテンシーの涵養に有益であるのか、②また、課題解決へ向けたプロジェクト活動を活性化させ、学習者の自己評価力を高めるルーブリックは、どのように構築されるべきか、といった研究課題は、未だ不十分な研究段階である。
今年度は、本研究の最終年度でもあり、上記の2点について、国内外のPBLの実態を、更に詳細に調査研究および解析を行うことによって明らかにし、学会発表や書籍の出版によって、少しでも日本の中等教育段階におけるアクティブラーニングの発展に貢献する所存である。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた主な理由は、日程調整が上手くいかずに、国内のPBL実施校への現地調査が、できなかったことである。大学の講義を担当しながら、全国のPBLの先進的実践を行っている中学校、高等学校のPBLの実態調査を行うことは、スケジュール調整が極めて困難であった。また、海外のPBL実施校への視察はある程度満足のいくレベルの調査を実施できたが、やはり、日程調整の関係上、訪問校を10校程度に絞らざる得なかった。この点も、当初計画より予算執行が進んでいない要因でもある。

次年度使用額の使用計画

今年度は、本務校における講義スケジュールを補講スケジュールも含めて、事前に十分調整した上で、国内の先進的なPBL実施校へ訪問調査を実施して、日本特有のアクティブラーニング実施上の問題点を明らかにしていきたいと考えている。
特に、プロジェクト活動自体を活性化させ、生徒の自己評価能力や自己管理能力を育むことができるルーブリックの実態調査や、生徒へのインタビュー調査を実施し、より生徒の主体性やコンピテンシーを育むことができるPBLのカリキュラムデザインの全体像に迫りたいと考えている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 『PBLの学びの意義の複眼的考察』2014

    • 著者名/発表者名
      広石 英記
    • 雑誌名

      『東京電機大学 総合文化研究 』

      巻: 11号 ページ: 71~78

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 米国視察を終えて、わが国の教育改革について思うこと2014

    • 著者名/発表者名
      広石 英記
    • 雑誌名

      PBL米国視察2014

      巻: 14号 ページ: 71~76

  • [学会発表] PBLの学び論1 - PBLの学びの意義の複眼的考察 -2014

    • 著者名/発表者名
      広石 英記
    • 学会等名
      日本教育方法学会
    • 発表場所
      広島大学 (広島県 東広島市)
    • 年月日
      2014-11-11 – 2014-11-12

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公開日: 2016-05-27  

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