研究課題/領域番号 |
25381272
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
三村 隆男 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10324021)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | キャリア教育 / キャリア発達 / 教師教育 / 教員養成 / 教員研修 / 追跡調査 |
研究実績の概要 |
1.諸外国の教員養成とキャリア形成の関係性の調査:英国では、学部による教員養成、PGCE、学校を基盤とした教員養成、及びTeach Firstを調査対象とした。米国では、前年度の調査で知見を得たPACTプログラム、及び認定機関としてのKEAPを更なる研究対象とした。その他、インドネシア教育大学及び韓国青少年政策研究院(NYPI)『第1回 東北アジア青少年フォーラム』で講演を行い、教員養成と教師のキャリア形成について議論を深めた。 2.教員養成・研修プログラムの開発:教師のキャリア形成の実際を調査するため、教職大学院の修了者の追跡調査及び修了者による自らの成長を省察するシンポジウムの開催を行った。 (1)本調査は早稲田大学教育総合研究所の支援を得ているが、その知見は本研究においても重要な資料となった。質問項目を「回答者のプロフィール」「教職研究科カリキュラムに対する意見」「教職研究科の学修の成果が現任校でどのように活かされているか」「今後の教師キャリアにおけるキャリア・プランニング」の四つに類型化し、調査を実施した。調査結果については報告書1をまとめ発行した。 (2)追跡調査の回答をもとに修了者3名によるシンポジウムを「学び続ける教員像を創出するカリキュラムの構造化の試み-キャリア教育の実践研究を中核とした修了者との連携-」とのタイトルで、2014年12月に開催された日本教職大学院協会研究大会「実践研究成果公開フォーラム」の場をかりて実施した。登壇した教師は、自らの教師キャリアをステフィら(B. E. Steffy et al, 2000)による6つの局面のいずれかに特定しながら、教職研究科の学修の成果と課題を現任校での業務及びその後の教師としてのキャリア形成に照射して発表をした。 3.昨年同様『早稲田キャリア教育研究第6巻』を発行し、研究の成果の公表に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.内外のキャリア教育実践のプログラム調査研究:当初、日本人学校に焦点をあてたが、日本人学校の現状は補習学校化しており、キャリア教育実践プログラム調査が難しいことが判明した。代替として、インドネシアや韓国というアジアのキャリア教育の動向について調査を進めることができた。特に韓国のキャリア教育(進路教育)の動向については、韓国を二度訪問し、学校訪問、キャリア教育推進機関訪問を通し、韓国の全中学校、高校に配置が進んでいる進路進学相談教諭制度、体験的な活動の実施を中心とした中学校における自由学期制、学校間の移行を円滑に進めるSTPプログラムの開発などに直接触れ、韓国の進路教育と教員のキャリア形成について聞き取り調査を含む諸調査を実施することができた。 2.教員養成、研修プログラムの調査研究 ①教職大学院における追跡調査の検討:早稲田大学大学院教職研究科における追跡調査結果を活用し、教員養成、研修プログラムの検討を進め、さらには、プログラムの内容が学校現場でどのように機能したか、修了者によるシンポジウムにて検証することができた。 ②埼玉県キャリア・カウンセラー養成研修講座の企画:埼玉県がおこなっているキャリア・カウンセラー養成研修講座の企画に携わり、キャリア教育研修と、研修に参加する教師のキャリア形成の関連について情報を収集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.キャリア教育実践のための教員養成・研修プログラムの開発:2年間の研究の成果を活かし、「優れた」キャリア教育実践を可能にする教員養成・研修プログラムについて、先行事例などをもとにその要件を、養成段階、採用段階、研修段階で整理していく。その次に、対象となる「優れた」キャリア教育実践の類型化を行い、それぞれの特色を活かした養成、採用、研修プログラムを開発していく。 2.前年度の追跡調査の結果をもとに実際の修了者を勤務校に尋ね、標記による関係性を明らかにするための聞き取り調査を実施する。 3.研究代表者が E. Steffy, Michael P.らによるLife Cycle of the Career Teacher(2000) を翻訳した『教師というキャリア』(2013、雇用問題研究会)にある6つの局面をプログラムに採用する予定である。「優れた」キャリア教育実践を可能にする教員養成や研究プログラムでは、それぞれの教師の発達の局面に合せた形でプログラムの構成や教材を特定いく。このことにより、系統的、組織的に展開される「優れた」キャリア教育実践を可能にする「優れた」教師の養成・研修するプログラムの開発が実現する。 4.諸外国の「優れた」キャリア教育実践とそれに伴う教員養成による教師のキャリア形成を題材としたシンポジウムあるいは講演会を開催し、教員養成、研修プログラムの開発の可能性を探る。 5.研究の成果を『早稲田キャリア教育研究第7巻』を発行することで公表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度内に予定していた海外調査が実施できなかったため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
一昨年の調査で不十分な部分の追加調査及び「優れた」キャリア教育実践を新たに発掘する二つの目的で、米国への海外調査を予定している。
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