3年目の研究では、プログラム開発に目安となる教師のキャリア形成局面の試行版を作成することに目標をおいた。そのために三つの事業を行った。ひとつは、2年目の追跡調査結果に基づく訪問による追跡調査の実施である。目的は、教職研究科での学修の成果が現場でどのように活かされているかを、修了者及び勤務校管理職を対象に、活かされている具体的内容及び管理職の評価を直接聞き取るものであった。対象17名からは所期の目的を達成する成果を得られた。次に、それぞれの発達段階の教師によるシンポジウム「教師というキャリア-学び続ける教員は困難をどう乗り越えるか-」の開催である。シンポジウムでは、教育委員会指導主事、私立高校のベテラン教員、新人の中学校教員が、直面した困難を乗り越えるにあたって教職大学院の学修がどのように機能したかを発表した。養成・研修における学修が優れたキャリア教育実践に影響を与える過程を知ることができた。研究最終年にあたり、「『優れた』キャリア教育実践を可能にする教員養成・研修プログラムの開発」について四つの側面から成果をまとめ、次の研究「教師のキャリアステージに応じたキャリア発達プログラムの開発」につないだ。 一つはキャリア教育実践と教員養成における歴史的研究であり、過去の実践と現代の実践とに通底する理念を析出したこと。二つ目は海外のキャリア教育実践と教員養成の比較研究を行い、「優れた」に近づく方策を提示したこと。三つ目は実際の現職教員への追跡調査を通し、プログラムの必要な要素を析出できたこと。最後に、現実の教員養成やキャリア教育の携わることで教員養成・研修プログラムの試行版を作成し、キャリア教育を実践する学校の独自性を活かしたプログラム開発を行ったこと、である。 研究成果として、25年度、26年度及び27年度末にそれぞれ研究報告書を発行し、研究の成果を公表した。
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