研究課題/領域番号 |
25381279
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
岡林 典子 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (30331672)
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研究分担者 |
難波 正明 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (10278442)
坂井 康子 甲南女子大学, 人間科学部, 教授 (30425102)
佐野 仁美 京都橘大学, 人間発達学部, 准教授 (10531725)
南 夏世 神戸海星女子学院大学, 心理こども学科, 准教授 (70514248)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 幼小連携 / 音楽教育 / プログラム開発 / 音楽活動 / 身体表現 / 音声表現 / 小学校音楽科 / 領域「表現」 |
研究概要 |
本研究の目的は、保育者・教員養成課程で学ぶ学生が音楽の指導において幼児教育と小学校教育の一貫性、連続性を理解し、高い資質と能力を獲得するプログラムを提案することである。合わせて、幼稚園教育と小学校教育の実践現場においても円滑な接続を果たせるような一貫性・連続性をもった音楽教材、音楽プログラムを提案することである。 初年度である本年は、まず京都幼稚園と京都女子大学附属小学校とともに研究連携し、幼稚園年長クラスの保育と1年生の授業を参観し、幼児期の子どもと低学年の児童の表現の特性や傾向を捉え、幼小をつなぐ音楽活動の可能性を検討した。科研費で購入した「行動コーディングシステム」のソフトを用いて子どもの行動を分析した結果、この時期の子どもの表現の特性として、跳びはねる行為が捉えられた。保育と授業の実践事例の分析からは、この時期の子どもが絶え間なく身体を動かして、身の回りの音や声、言葉のリズムに誘発されて身体を動かす段階にあることが確認された。その成果の一部を論文として著した。 次に、乳幼児の音声表現における抑揚に焦点を当て、観察資料から歌唱様音声の末尾の上昇に着目して、いくつかのパターンの抽出を試みた。その結果、日本語の抑揚に基づく2度音程型やポルタメント型、ベルシェイプ型などの多様な抑揚の存在が捉えられた。また、子どもの歌唱様音声は一様ではなく、習得しつつある言語や場面の状況などに影響を受けながら、多様に表現されていることが明らかになった。これらの結果をもとに、保育者・教員養成においては、将来、幼児や児童に「既成の歌」を教える機会をもつことになる学生が、五線譜という枠組みに納まらない子どもの音声表現に意識を向けて理解を深め、曲の選択や歌い方について思慮深い指導力を身につけられるように指導のあり方を探っていく必要があることが示唆された。これらの成果の一部については論文に著した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・幼小連携をふまえた音楽教育プログラムの開発に向けて、幼稚園と小学校と研究連携し、幼児期の子どもと低学年の児童の表現の特性や傾向を捉えることができた。加えて、幼小をつなぐ音楽活動の可能性を検討し、その結果を論文にまとめることができた。 ・乳幼児の音声表現における抑揚について、日本語の抑揚に基づく2度音程型やポルタメント型、ベルシェイプ型などの多様な抑揚の存在を捉えることができ、保育者・教員養 成における音楽指導のあり方に示唆を得ることができた。そして、その成果の一部を論 文にまとめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
25年度の研究方法を継続しながら、具体的な音楽教育プログラムの開発に取り組む予定である。短期的な研究成果をまとめ、学会発表などで吟味し、課題を焦点化することに努める。具体的な研究計画は、わらべうたを題材とした保育実践、授業実践を参観し、分析を行い、音楽教育のプログラム開発に取り組む。また、保育者・教員養成課程の学生を対象にわらべうたに対する意識調査を行う。それらを学会発表並びに論文にまとめて公表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
申請当初に予定していた物品が安く購入できたことに加え、購入予定であった音楽教育関係文献の見直しをしたことによる。 26年度の研究計画を遂行するための研究費使用は、1)小学校と幼稚園の音楽教育をつなぐプログラム内容に関する調査に係る経費(文献、資料購入費の必要性)、2)実践データの記録と分析に係る経費(保存メディア、紙媒体保存用ファイル等文具購入費の必要性)、3)短期的な研究成果の発表に係る経費として、全国保育士養成協議会第53回大会発表(予定)、日本学校音楽教育実践学会第19回全国大会発表(予定)(研究旅費の必要性)等である。
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