研究課題/領域番号 |
25381280
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
若槻 健 関西大学, 文学部, 准教授 (40421276)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 市民性教育 / 人権教育 / 教育実践 |
研究概要 |
本研究の目的は、①人権教育の観点からわが国における市民性教育の実践の展開を把握し、人権教育に基盤を置いた市民性教育のモデルを構築することである。またその過程において、②そのカリキュラムや教育方法をデータベース化し公開することで、小中学校教員等の教育実践者の授業づくりや学校づくりを促進する資料と視座を提供することを目指す。そして、③人権教育に根ざした市民性教育の評価の枠組みを構築するものである。 そのために、平成25年度は、国内の市民性教育や人権教育の実践について情報収集を行うとともに、小学校、中学校、高等学校への聞き取り調査をおこなった。さらには、仮説的にではあるが、市民性教育の類型化を図り、学会発表を行った。 具体的には、第1次調査として、市民性教育の実践事例の情報収集を行い、全国で行われている市民性教育の事例をできるだけ多く掘り起こし、リストアップした。第2次調査として注目すべき実践校への現地調査(その1)を行った。現地調査は、平成26年度も継続して行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、市民性教育と人権教育の諸実践を収集することを主な目的としていたが、西日本を中心に、小学校、中学校、高等学校と幅広く情報を得ることができた。特に、人権教育に長く取り組んできていた学校で、市民性という枠組みで教育実践を行うようになってきている学校の情報を得ることができた。それは身近な人間関係を大切にしながら、それを超え構造的な問題へ目を向けようとする、また社会を担う市民へと育てようとする教育実践である。 また、諸実践の類型についても得られたデータより仮説を立てることができた。すなわち、所与の社会への適応型と貢献型、さらには多文化化する現代社会を視野に入れた変革型である。今後各型が、人権教育とどう関連付けられるのかを検討していく予定である。 平成26年度以降の研究へとつながることができており、研究はおおむね順調に進んでいるということができる。
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に進んでおり、特に研究計画の変更は予定していない。市民性教育の類型化の仮説をもとに、典型的な実践校の取り組みをより深く分析する。各型が、人権教育とどう関連付けられるのかを検討していく予定である。 そのため、典型的な実践校を選択し、複数回訪問調査を行う。教育実践を観察し、教員等にインタビューを行うことで人権教育と市民性教育の関連について理論化を図りたい。 さらに実践のデータベース化も本研究の目的の一つであるため。、今年度も幅広く市民性教育と人権教育の情報収集を行う。その際には、これまで培ってきた教育委員会、学校教員とのネットワークを活用していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の実践校への聞き取りについて、近隣の学校を中心にしたため、予定していたよりもわずかであるが旅費が少なくてすんだ。その分平成26年度は、遠方への聞き取りを予定しており、次年度使用額が生じた。 今年度の調査は、1)注目すべき実践校への現地調査、2)データの分析と類型化、3)次年度のフィールドワーク調査対象校の選定、4)教育効果測定質問紙調査の準備、に整理することができる。1)については、主に旅費・交通費、2)4)について、図書資料費・消耗品費が必要となる。また、収集したデータのテープ起こしや整理等でアルバイトの雇用を計画している。なお、「次年度使用額」については聞き取り調査を充実させるための旅費に充当する。
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