研究課題/領域番号 |
25381281
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 桃山学院大学 |
研究代表者 |
松岡 敬興 桃山学院大学, 経済学部, 准教授 (10510539)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | いじめ / 学級活動 / 生徒指導 / ガイダンス |
研究概要 |
いじめ問題の解決をめざすうえで、児童生徒の健全育成の視点に立ち、未然防止の取組が必要である。すでに学習指導要領には指導計画の配慮事項において、ガイダンス機能の充実が明文化されている。そこで本研究では、小学校高学年および中学校段階の児童生徒を対象に、未然予防に主眼を置いた「いじめ未然防止プログラム」を開発し、授業実践を通してその教育効果を実証する。 いじめとは文部科学省(2006)によると「一定の人間関係のある者から、心理的・物理的な攻撃を受けたことにより、精神的苦痛を感じているもの」とされている。従来の定義から、いじめられる側の認知が判断基準へと変更された。ただし、いじめは攻撃が反復されることから、被害者が加害者を訴えるエネルギーをも喪失させ、学級担任がその実態を正確に把握することが、正しく困難な状況にある。ややもすると学級担任によるいじめ問題への対応は、事象の発覚後に開始される傾向にある。その解決をめざして、学内の多様な人的資源を駆使した取組が展開されるも、かなりの時間と労力(教育相談、家庭訪問、職員会議、など)を要しているのが実情である。 そこで児童生徒を健全育成する視点に立ち、事象が発覚する以前に、未然防止をめざしたガイダンスプログラムを行うことが効果的であると考えた。毎日、学級担任が関わる「朝の会」、「終わりの会」に着目し、日常における系統的・計画的な取組がどのように展開されているのかについて調査した。公立小学校(3校)の学級担任(3名)の協力のもとで、音声記録の内容についてカテゴリー分析を進め、必要な指導に関わる要素を抽出する。加えて連携協力者と共同して、自己理解・他者理解を深める複数時間で構成するプログラムの開発を進めている。児童生徒一人一人が、自分自身と向き合いながら対話ができる作業体験を組み入れたプログラムである。本プログラムを完成させ、授業実践へと繋げる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いじめの未然防止プログラムの開発に向けて、公立小学校(3校)の学級担任(3名)の協力をえて、「朝の会」、「終わりの会」の逐語記録をとり、その内容についてカテゴリー分析を進めている。主に、のべ3週間(1月、2月、3月)の逐語の内容から、指導に必要な要素についての分析・検討である。今後はその結果に基づき、学級担任と合同で分析・検討を加え、指導に必要な要素について精選を図る。 同時に「いじめ未然防止プログラム」として、複数時間で実施する学級活動の開発を進めている。連携協力者と2回の会合をもち、学習指導案の作成を共同で行い、その具体化を図っている。今後は完成したプログラムに基づき、学校現場での実践を行い、その教育効果について分析・検討を加える。 研究計画で取りあげた基礎資料(関連文献)、教育現場からの資料(「朝の会」「終わりの会」の逐語記録)、およびプログラムの具体化に向けた取組(合同の打合せ)、など、それぞれ順調に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
「いじめ未然防止プログラム」を具体化し、学校現場において協力者(学級担任)による教育実践を通して、児童生徒にもたらす教育効果について分析・検討を加える。 また学級担任が、毎日の児童生徒との関わりによる未然防止を図る取組として、「朝の会」、「終わりの会」、「学級活動」に着目し、指導に必要な内容および進め方についても分析、検討を加える。 協力者の人数を増やし、研究の信頼性・信憑性が高める必要がある。ただし、現在取りかかっているデータの分析・検討およびプログラムの開発を優先して進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
「いじめ未然防止プログラム」の具体化の段階にあり、完成後、その教育実践に必要な機材、消耗品等の購入を予定したことによる。また、研究に関わる協力者(学級担任)との打合せを、諸事情により急遽変更したことも該当する。 「いじめ未然防止プログラム」の教育実践に必要な機材、消耗品を購入する。また、研究に関わる協力者(学級担任)との打合せの旅費に充てる。
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