研究課題/領域番号 |
25381287
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
岡崎 貴宣 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50548295)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 数理モデル化学習 / 漸化式 |
研究概要 |
今年度は,高等専門学校における「数理モデル化」を伴った教材開発とそのカリキュラム開発を中心に行った.教材開発では,高等学校第2学年における漸化式の単元での実践教材を中心に,漸化式を活用して第3学年以上で学習する微分方程式につながる教材とした.今回は実践時期についても熟考した.これまでは第3学年での微分方程式学習直前において試験的に行ってきたが,実際の授業カリキュラムは第2学年であり,そこで実践するのが望ましい.その際に問題となるのが,「微分」の単元の学習前に「微分方程式」における数理モデル化につながる内容が扱えるのか,ということである.そこで,最初に発展的な課題を提示して解決していく方法ではなく,課題を段階的にステップアップしていく方法を選択し,授業者が支援を適切に行うようにした.結果として,次の二つの成果が得られた.一つ目は,微分学習前においても教材が実践可能であることが確認できたこと,二つ目は,教材内容が漸化式と「微分方程式」だけでなく,「微分」の単元とのつながりも持たせる内容であることが確認できたことである. まず一つ目であるが,漸化式での授業カリキュラム内に開発した教材を組み入れて実践が可能で,本来の学習内容からかけ離れることなく,発展学習として自然な流れで授業実践が可能であることが確認できた.また,「微分」の学習前に実践を行うことは生徒達にとって数学の道具が不足するのではと懸念されたが,特に大きな影響はなかった.二つ目であるが,漸化式の教材の内容に,極限や微分の考え方につながる内容とリンクすることができることが確認された.これは生徒達にとっても漸化式の有用性を体感させられる非常に良い教材であると思われる. 今回の成果は,今までの通常カリキュラムの大枠を損ねることなく,数理モデル化学習を組み入れることができたという点で重要な意味をもつ.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的は大きく分けて二つあり,中学校数学教育における「数理モデル化学習」の教材開発とカリキュラム開発,および高等学校(特に高等専門学校)における教材開発とカリキュラム開発である.今年度は高等専門学校における教材開発とカリキュラム開発を中心に行い,その教材の有効性と通常授業として実践を行うカリキュラム開発の見通しを立てることができた.そのため,現在までの達成度は計画している予定とほぼ一致していると考え,おおむね順調に進展していると結論付ける.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,高等専門学校における教材開発だけでなく,中学校数学教育における数理モデル化学習を組み入れた必修授業カリキュラムの構築も行っていく.その際,中学校教員とも連携をし,考案したカリキュラムを実践する上での意見交換も密に行っていく.また,授業を記録する方法として映像や資料を残し,それらを情報発信することができるよう整理していく.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、研究代表者が勤務している高等専門学校にて実践することが主となり、その実践記録を残すことに重点が置かれた。そのため、資料を編集するなど必要な機材の購入は次年度としたため使用予定額に差額が生じた。 次年度は以上の点を踏まえ、資料を編集する機材(映像編集のためのPC等)を準備する。また、中学校数学教育教材の開発も行い、そのための必要な物品の購入、中学校教員との意見交換のための出張や、学会での発表に必要な経費としても使用予定である。
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