今年度は,数理モデル化教材の開発・実践において,(1)授業外での学習支援システムを活用した方法,(2)中学校必修授業での実践,について考察した. まず(1)であるが,数理モデル化学習を実践する中で,授業時間数が問題となった.当初は1,2時間の実践で計画を立てていたが,実際に教材を開発してみると,3,4時間以上の授業時間数が望ましいことがわかってきた.年間の授業時間数は決まっていることから,実践を行うために必要な時間をどのように得るかを考えた結果,岐阜高専に昨年度から導入された学習支援システム(Moodle)の活用を考えた.Moodleとは授業者の資料の提示や学生の課題提出などが行えるだけでなく,授業者の撮影した動画を載せて学生が受講形式で見ることもできる.このツールを用いれば,授業時間外でも学生が自分のペースで進めることができる.そのため,今年度はこの学習支援システムの活用方法も模索した.反転学習や事後学習といった,授業時間以外でも授業者の説明を伝えることが可能なこのシステムを利用することで,実践に時間を要する数理モデル化学習教材でも実践の見通しが立った.さらに,この学習支援システムは通常の必修授業の内容においても活用することができることから,年間を通して様々な形で教材実践に利用できると期待している. (2)であるが,中学校必修授業における数理モデル化教材については,漸化式を題材にした教材について考察した.第2学年の1次関数や,第3学年の2次関数の単元など,値の増え方に注目することで,漸化式と同様な考え方に帰着できる.「微分」の単元学習前という点では,これまで高専・高等学校1学年用として開発した教材を中学校教材に再編することも可能であることが確認された.
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