研究課題/領域番号 |
25381293
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
米田 宏樹 筑波大学, 人間系, 講師 (50292462)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | インクルージョン / 知的・発達・重複障害教育カリキュラム |
研究概要 |
知的・発達障害のある児童生徒のインクルーシブカリキュラムの在り方と教育方法の検討を目的として,米英型シングルトラック・カリキュラム(英国のPスケール・米国のコモンコアカリキュラム)に関する資料を収集しこれまでの展開を概観した。 英国では,1978年のウォーノック報告を受けて1981年教育法により「特別な教育的ニーズ」(SEN)という概念が導入された。特別学校や特別学級は存在するが,教育サービスは連続的なものと考えられている。特別学校などで学習する知的障害のある子どもは,全員に適用されるナショナルカリキュラム(NC)が適用できない場合がある。NCのレベル 1の水準に到達していない子どもの達成目標の評価基準としてPスケールが用意された。Pスケールは,NCの各科目に設けられており,各Pスケールは8つの達成レベルを使用することにより,NCのレベル1へと繋がる学習について説明するものである。 米国では,1997年障害者教育法(IDEA)では障害のある児童生徒の個別指導プログラムは,個々の児童生徒が通常教育カリキュラムで学べるようになるために必要な知識やスキルを記載したものでなければならないとされた。この背景には,学力向上と学力格差縮小の施策である「スタンダードに基づく教育改革」がある。「どの子も置き去りにしない法」(NCLB法)では,各州の教科スタンダードの設定,試験の実施,結果の公的報告により,各学校が説明責任を果たしているか否か確認される。特別なニーズのある児童生徒もこの対象に含まれる。近年では,大半の州が,コモンコアスタンダード(全米統一スタンダード)を導入している。現在では,全ての児童生徒は,どの教育の場においても共通するスタンダードに基づくカリキュラムで学ぶことが求められている。 次年度は歴史的経緯や現状について,さらに情報収集と分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、英米の史資料・情報収集、日本の史資料・情報収集を中心にし、26年度の詳細な検討・分析の準備を行うことができた。英米のキーポイントに関する概観作業も進んだことから、上記自己評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
①歴史的研究:米英型シングルトラック・カリキュラムにつながる系譜・論史ならびに日本型マルチトラック・カリキュラムにつながる系譜・論史を教育方法史の文脈で分析する。 ②文献研究・実地調査によるカリキュラム・教育実践研究:米英シングルトラック・カリキュラムと教育実践論、日本型マルチトラック・カリキュラムと教育実践論の検討にあたっては、実績のある学校区や学校レベルにまで下げた教育研究物等を資料に含め、文献研究を主として、補足的に実地調査・聞き取り調査を行いたい。
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