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2015 年度 実施状況報告書

知的・発達障害者のソーシャルインクルージョンを実現するカリキュラムモデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 25381293
研究機関筑波大学

研究代表者

米田 宏樹  筑波大学, 人間系, 准教授 (50292462)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード共生社会・インクルージョン / 知的・発達・重複障害教育カリキュラム / 学習困難 / 知的障害 / 通常教育カリキュラム
研究実績の概要

日本における知的・発達障害教育の展開過程の史資料収集・整理・分析作業を行った。この結果、学習困難の度合いの高い児童生徒への生活教育ならびに教科等を合わせた指導の意義を考察する準備が整った。また、現在の知的障害教育(特別支援学校)における社会との接続のあり方やそのための教育指導の在り方について、「デュアルシステムによる現場実習」の実態調査と「個別の教育支援計画を活用した教育」についての実態調査を行った。
英国における知的・発達障害教育のカリキュラムに関しては、スコットランドにおいて現地調査を行い、ナショナルカリキュラムレベルの到達度の低い児童生徒へのカリキュラムモディフィケーションに関する情報収集をおこなった。通常学校環境下でのディファレンシエイティッド・インストラクションや特別学校におけるナショナルカリキュラムに基づく個別カリキュラムも「アディショナル・スペシャル・ニーズ」という考え方のもとに提供されている。イングランドの「スペシャル・エデュケーショナル・ニーズ」との異同を検討する必要がある。
米国における知的・発達障害教育のカリキュラムに関しては、通常教育カリキュラムを学ぶ上で特別なニーズのある知的障害児童生徒のための総合カリキュラムである「ユニーク・ラーニング・システム」に関する情報収集を行った。この総合カリキュラムは、対象を3つのレベル(広範かつ広汎なサポートのもと学習への参加を増大させることが主な目的の児童生徒、学習理解に際してシンボルの使用や直接的支援が必要な児童生徒、簡単な読み書き計算が可能な児童生徒)に区分して教材を用意し、スタンダードに基づく教育内容は、就学前~12学年及び社会移行期を6つの時期のまとまりに区分して構成されている。このカリキュラムの詳細な分析は、次年度も継続して行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

日本における知的・発達障害教育カリキュラム史に加えて、今年度は、特別支援学校における指導計画の作成や高等部から社会への移行のための教育実践に関する実際的情報を収集することができた。
英国においては、ナショナルカリキュラム(通常教育カリキュラム)の枠組みにおける知的・発達障害児への教育カリキュラムの提供方法や学習評価に関する実際的対応をある程度把握することができた。
米国においては、スタンダード・ベース・カリキュラム(通常教育カリキュラム)に基づく知的・発達障害児への教育内容の提供と教材の工夫に関する実際的対応をある程度把握することができた。
これらの成果を基に、最終年度に当たる次年度には、学習困難の度合いの高い知的・発達障害のある児童生徒のための教育内容の組織化について通常教育カリキュラムとの連続性の観点を中心に、インクルーシブ教育カリキュラムをどうとらえるべきかを考察することが可能であると考えられるため、上記評価とした。

今後の研究の推進方策

次年度前半において英国イングランドの現地調査を行い、スコットランドとイングランドの異同を検討する。これは特別支援学校をインクルーシブ教育の中にどう位置づけるかの参考に資する情報を得るためである。
SNE学会において、英語圏における特別支援教育を研究している日本人研究者とシンポジウム・パネルディスカッションを行い、研究成果の共有とともに議論・考察を深める。

次年度使用額が生じた理由

現地調査・情報収集について、日程調整の結果、一部を次年度前半に実施することになったため。

次年度使用額の使用計画

次年度5月中に英国イングランド、マンチェスターの障害者支援センターを訪問し、イングランドにおける知的障害児のインクルーシブ教育に係る調査を行う。日程等については調整済みである。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 知的障害教育における「本人の願い」を大切にしたキャリア教育―A 特別支援学校の「個別の教育支援計画」の活用と「自己選択」支援の実際を通して―2016

    • 著者名/発表者名
      桐原真・米田宏樹
    • 雑誌名

      筑波大学特別支援教育研究

      巻: 10 ページ: 31-44

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Special needs education and curriculum modifications for students with intellectual and developmental disabilities in Japan2016

    • 著者名/発表者名
      Hiroki Yoneda
    • 学会等名
      TCELT (Research Centre for Transformative Change: Educational and Life Transitions) Seminar
    • 発表場所
      University of Dundee, Scotland U.K.
    • 年月日
      2016-03-10 – 2016-03-10
  • [学会発表] 米英におけるカリキュラムモディフィケーションの現状と課題―単線型カリキュラムにおける評価とソーシャルインクルージョン―2016

    • 著者名/発表者名
      米田宏樹
    • 学会等名
      障害科学学会第11回大会
    • 発表場所
      筑波大学(筑波キャンパス)(茨城県・つくば市)
    • 年月日
      2016-03-05 – 2016-03-05
  • [学会発表] 戦後初期の「精神薄弱」に関する三木安正の思想―教育の場に着目して―2016

    • 著者名/発表者名
      岩﨑優・米田宏樹
    • 学会等名
      障害科学学会第11回大会
    • 発表場所
      筑波大学(筑波キャンパス)(茨城県・つくば市)
    • 年月日
      2016-03-05 – 2016-03-05
  • [学会発表] 知的障害特別支援学校でのデュアルシステムにおける企業・団体とのパートナーシップに基づく連携の在り方2016

    • 著者名/発表者名
      平川聡・米田宏樹
    • 学会等名
      障害科学学会第11回大会
    • 発表場所
      筑波大学(筑波キャンパス)(茨城県・つくば市)
    • 年月日
      2016-03-05 – 2016-03-05
  • [学会発表] 戦後精神薄弱教育におけるカリキュラム論の展開―1963年養護学校学習指導要領の制定過程に着目して―2015

    • 著者名/発表者名
      青木琴音・岡典子・宮内久絵・米田宏樹
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第53回大会
    • 発表場所
      東北大学(川内キャンパス)(宮城県・仙台市)
    • 年月日
      2015-09-19 – 2015-09-19

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公開日: 2017-01-06  

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