研究課題
基盤研究(C)
本研究は、発達障害はいわゆる「不器用」と呼ばれる「協調」の稚拙さや「感覚」の問題など「身体機能の調整障害」による「生活障害」であるという最新の脳科学や当事者研究の知見に基づく観点から、我が国においては未だ実態がつかめていない青年期・成人期の発達障害のこれらの問題について明らかにし、当事者の社会参加のための包括的な支援・指導に繋げることを目的とする。今年度は、英国Kirby A教授との国際共同研究により、青年期・成人用アセスメントツール(Adult Developmental Co-ordination Disorders/Dyspraxia Checklist: ADC)日本語版の開発を行った。日本語版の作成と異文化への適応にあたっては、これまで申請者が作成してきたDCDの複数の国際的アセスメントツールと同様に国際的ガイドライン(Beaton DE, et.al. 2000)に則って行った。また、研究代表者、連携研究者が、発達障害当事者とその家族らと設立し、様々な活動を理事として行なっている特定非営利活動(NPO)法人のメンバーの協力により、発達障害児・者の「不器用さ」「協調」の稚拙さ、「感覚の問題」についてアンケート調査を行った。個人が特定されない無記名の調査票とし、自由記載の形式とした。アンケート調査の結果、自閉症スペクトラム障害や学習障害、AD/HDなどの発達障害児・者おいて、「不器用さ・協調」「感覚の問題」で様々な「困り感」を抱えていることが明らかになった。テキストデータマイニング・ソフトウェアを用いて予備的に検討した結果、ADCでの質問項目が多く含まれており、更に、2013年に公表されたDSM-5におけるDCDの診断基準や診断的特徴にも多く記載されており、やはりADC日本語版の必要度が再確認された。
2: おおむね順調に進展している
国際共同研究により、青年期・成人用アセスメントツールであるADC日本語版の開発を国際的アセスメントツールと同様に国際的ガイドラインに則って行った。ある自治体と調査研究を協働、また、発達障害当事者・支援者とで設立されたNPO法人の協力を得て、発達障害児・者の「不器用さ」「協調」の稚拙さ、「感覚の問題」についてアンケート調査を行い、結果、様々な「困り感」を抱えていることが明らかになった。更に、テキストデータマイニング・ソフトウェアを用いて検討した結果、ADCでの質問項目やDSM-5におけるDCDの診断基準や診断的特徴にも記載されている項目が抽出された。
協力の得られる自治体と協働し、ADC日本語版を用いた調査を行い、我が国における青年期・成人期の協調の予備的な標準値を作成する。また、感覚プロフィール日本語版やその他の発達障害のアセスメントとの関連についても解析し、障害のディメンジョナルな理解と支援との関連について検討する。これらの結果を受け、申請者や連携研究者が理事を務めるNPO法人など当事者での調査を行う。これらの成果から、発達障害支援者はもとより、当事者・保護者自身も気づかなかった協調や感覚など身体機能に関する「困り感」やその解決・支援方法のデータベース構築、高等教育現場や就労支援などにおける客観的評価に基づく「合理的配慮」のあり方や指導方法、国民への理解促進・啓蒙に資する。
学会出張旅費・参加費、アルバイト人件費、英文校正費、消耗品などは、学内の別資金より支出を行うことができ、該当研究資金の有効な節約使用と次年度への情報発信への使用予定等に当てるため。次年度は上記のような資金がない。データベース用PC等の導入、研究成果の情報発信のための国際・国内学会出張旅費・参加費、英文校正費などが複数予定されており、上記により次年度への有効な執行を予定している。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (17件) (うち招待講演 4件) 図書 (1件) 備考 (2件)
日本赤ちゃん学会誌「ベビーサイエンス」
巻: 13 ページ: 57-59
日本子ども学会雑誌「チャイルドサイエンス」
巻: 10 ページ: 4-9
アスペ☆ハート
巻: 33 ページ: 26-33
PETジャーナル
巻: 23 ページ: 16-18
日本設備管理学会誌
巻: 25 ページ: 2-8
巻: 25 ページ: 33-38
http://www.med.u-fukui.ac.jp/cdrc/
http://www.hwc.or.jp/hospital/kodomo/syouni_suimin_top.html