研究課題/領域番号 |
25381304
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
宮地 弘一郎 信州大学, 教育学部, 講師 (40350813)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 重症心身障害 / ICF / 間接的介入 |
研究概要 |
本研究では“反応の乏しい”重症心身障害者の生活機能としての感覚受容を拡張・向上するための,療育者への間接的介入の効果について,重障事例の日常生理モニタリングと療育スタッフの主観評価から検討することを目的としている. H25年度は以下の課題を実施した.課題1:2棟の重症心身障害病棟を調査対象とし,病棟で生活する事例計6例を対象に,日常生活場面の行動・生理モニタリングを実施し,生活刺激への応答性に関する評価を実施し,事例の感覚受容に関する基礎資料を得た.課題2:課題1と並行し,調査対象病棟の日常刺激環境について,VTR記録による調査を実施した.課題3:調査対象病棟に勤務する病棟スタッフを対象に,かかわりを自己評価するためのチェックリストを作成し,各病棟の看護師を対象に試験的に実施した.施設Aでは3回,施設Bでは2回,2か月おきに実施した. 課題2では,病室構造(個室orオープンスペース)と病棟内の位置の違いによって,療育スタッフのかかわる時間,感覚別にみた生活関連刺激および頻度に違いが生じることが明らかとなった.さらに課題1の結果と合わせ,きわめて重度の超重症事例においても病室外からの生活関連刺激を受容している可能性が示された.課題3については,チェックリストを得点化し実施効果を検討した結果,2回目,3回目におけるかかわりの質的・量的な向上がみられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象施設および事例は,事例1名を除いて以前より関わってきた対象であったため,過去のデータも活用しながら基礎資料の収集を進めた.そのため,当初の予定よりも早く日常環境に関する必要なデータを得ることができた.そこで,次年度実施予定のかかわりチェックリストについてのテスト版を試験的に実施し,次年度速やかに研究を実施できる体制を整えることができた.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き当初の研究計画に則り研究を推進する.H26年度は,以下の課題を実施する.課題1:重障児・者の生活刺激環境と生活機能の連関についてエビデンスベースで還元し,かかわりの発達的意義への理解と意識づけを行う.さらに,平成25年度の研究成果を基に,かかわりチェックリストを作成し,重障児病棟の療育スタッフに対し定期的に実施することで,かかわりの自己評価,および重障児・者が生活機能を行使するための視点の具体化を促す.課題2:療育スタッフへの間接的介入の効果について,療育者の意識,および対象事例の日常モニタリングから検討する.
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