研究課題/領域番号 |
25381305
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
平澤 紀子 岐阜大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (20320393)
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研究分担者 |
坂本 裕 岐阜大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20310039)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 発達障害 / 行動問題 / 行動支援計画 |
研究概要 |
研究目的:発達障害児に対して、幼児段階の有効な支援情報を活用して入学時から行動問題を予防するプログラムを開発するために、平成25年度は発達障害幼児の支援教室担当者が機能的アセスメントに基づく行動支援計画を作成するための方法について検討した。 研究方法:研究協力の同意を得た3カ所の発達障害幼児の支援教室に通級している5歳児と教室担当者を対象とした。(1)通級児90名の園担任へのアンケート調査を基に、有効な支援情報を収集するためのアセスメント項目を検討した。そして、(2)行動問題を示す対象児25名を担当する教室担当者2グループに対して、時期をずらして行動支援計画作成シートを用いたコンサルテーションを行い、その効果を教室担当者が作成した支援計画の変化と対象児の行動変化から検討した。 結果と考察:(1)園の活動場面における配慮や支援の程度の評価に関する因子分析から、活動参加に関する配慮、要求場面における配慮、対人回避における配慮、環境変化における配慮の4因子14項目が見いだされた。行動問題の生起群50名は非生起群40名に比べて、配慮や支援の程度が有意に高くなった。このことから、本アセスメント項目は、園での有効な支援情報を収集するのに役立つと考えられる。(2)いずれのグループもコンサルテーションの導入後に、教室担当者による情報収集と支援の計画立案に関する評価平均値が有意に増加した。とくに行動の結果に関する記載が増加し、支援計画の妥当性も向上した。また、ほとんどの対象児で行動問題の頻度や程度が減少した。このことから、本コンサルテーションは教室担当者が行動支援計画を作成するのに有効と考えられる。ただし、変化が見られなかった支援方略や対象児があることから、指導法や標的行動との関連を分析する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由)本研究の目的は、発達障害児に対して、幼児段階の有効な支援情報を基に入学時から行動問題を予防するプログラムを開発することである。そのために、1年目においては、幼児段階の有効な支援情報を収集する方法と、小学校に送る有効な行動支援計画を幼児の支援教室担当者が作成するための方法を明らかにする必要がある。そのどちらも計画どうりに検討できたことから、研究は順調に伸展していると評価する
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今後の研究の推進方策 |
研究目的:発達障害児に対して、幼児段階の有効な支援情報を活用して入学時から行動問題を予防するプログラムを開発するために、平成26年度は、1年目の対象児への継続的な実践研究を通じて、就学前の有効な支援計画を小学校の支援体制に即して入学時から実施する方法を明らかにする。 研究方法:1年目に行動支援計画を作成した対象児25名とその学級担任を対象とする。入学前に幼少連絡協議会を開催し、小学校担当者、幼児の支援教室担当者と、就学前の行動支援計画を小学校の支援体制に即して、入学時から実施できるように具体化する。入学後4月、1学期終了7月、2学期終了12月に、支援計画の実施状況と対象児の適応状況を評価し、対象児や支援体制に応じた効果的な行動支援計画の実施方法を明らかにする。なお、入学後の評価では、必要な場合は支援会議を行い、対象児の学校適応を支援する。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入予定であった対象児の実態把握検査(WISC-IV)は借用が可能となった。また、連携協力者の都合により、学会参加時に研究会議を開催したために、当初予定していた岐阜大学における研究会議の旅費が未使用となった。 対象児の行動評価については、ビデオ記録を手作業で分析したが、予定の対象児数を上回る25名の分析には時間を要した。そこで、今年度に生じた費用により、行動評価の分析ソフトを購入する。
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