本研究は、発達障害幼児の支援教室に通級している行動面の支援を要する5歳児への継続的な実践研究を通じて、(1)幼児教室担当者が機能的アセスメントを基に有効な支援情報を個別の支援計画に活用する方法と、(2)その支援計画を小学校担当者が入学時から活用する方法を検討し、それを基に就学前の有効な支援情報を活用した小学校入学時からの行動問題予防プログラムを開発した。 (1)幼児担当者が機能的アセスメントを個別の支援計画に活用する方法の検討:発達障害幼児の支援教室担当者12名に対して、行動支援計画作成シートを用いて、機能的アセスメントに基づく情報収集や計画立案を解説し、担当者が対象児の行動支援計画を作成した。その結果、行動支援計画の作成支援の導入により、担当者の情報収集や計画立案に有意な変化がみられ、導入されない場合はみられなかった。とくに行動の結果に関する情報や支援が増加し、計画立案の妥当性も向上した。また、対象児の行動問題も減少した。 (2)小学校担当者が就学前の支援情報を活用する方法の検討:就学前に行動支援計画を作成した対象児の小学校における追跡調査を基に、入学当初における支援情報の活用実態を検討した。入学後の5月に、行動支援計画を引き継いだ小学校担任12名から、①対象児の学校生活と行動問題、②支援の実行、③支援情報の有用性、④支援の見通しの評価を得た。その結果、対象児の学校生活は良好で、6割に行動問題が生起したが、支援の7割は実行され、担任の8割はその支援情報が役立ち、支援の見通しが得られたと評価した。 (3)小学校入学時からの行動問題予防プログラム:2年間の研究結果から、機能的アセスメントを活用した就学前の支援計画を入学当初から活用することで、小学校担任の支援の見通しを高め、予防的対応につながるといえる。今後は、就学前の支援計画の作成と就学後の支援計画の活用を一貫して行うための検討が必要である
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