アフガニスタンは世界の最貧国の1つである。通常の学校教育の再建は国家の最重要課題である。また、アフガニスタンは2012年に国連「障害者の権利に関する条約」に加入している。第3次国家教育戦略計画(National Educational Strategic Plan Ⅲ)では就学率が69%で、15歳年齢の識字率は26%である。この計画には小学校入学時に、視覚検査と聴覚検査の実施についても述べられており、障害のある子供達の教育に関心が向けられている。インクルーシブでチャイルドフレンドリーな教育を全ての子ども達のための教育とし、首都カブールではインクルーシブ教育の研究推進が展開されている。そのような現状の中で、教師教育局が全国の教員養成短期大学での特別支援教育教員養成課程の開設のためのカリキュラム、シラバス、テキストの開発を求めている。国際協力機構(JICA)はアフガニスタンの特別支援教育の開発支援に取り組んでいる。アフガニスタンの基礎資料を収集すると共に、他の開発国の調査も踏まえて、カリキュラム開発研究に取り組んだ。 アフガニスタンの教員養成短期大学における特別支援教育教員養成課程の開発に向けた取組は現地の特別支援教育の現状とリソースを踏まえ、視覚障害教育と聴覚障害教育に関する「生理・解剖・病理」「教育」「心理」の2領域3科目ずつのシラバス等の開発に取り組んだ。現地関係者のカリキュラム開発ニーズと人材育成および能力開発、現地の特別支援教育の現状を踏まえたカリキュラム等の開発過程やシラバスやテキストの構成や内容等は、今後の開発国の特別支援教育やインクルーシブ教育の開発、特にイスラム国のインクルーシブ教育の開発においては有効な資料となる。
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