研究実績の概要 |
本研究は、教科学習等で困難が顕在化したり増大したりする小学校入学前後をターゲットとし、基礎的認知能力を形成していく経験の偏りや学習の未形成などを支援するプログラムの開発を目的とした。本プログラムの特長は、子どもの基礎的認知能力をPASS理論(Planning,Attention,Simultaneous,Successive)に基づいて考慮したモジュールが構成され、子どもはパソコンのタッチパネルで簡単な課題に応じていくことができるというところである。課題は、その正否よりは活動に取り組み続けることが評価されるため、その都度正否のフィードバックがなされない。そのことにより、失敗経験を積み重ねやすい困難のある子どもたちが,大人の手助けを受けながら課題に従事することができるように工夫されている。家庭や学校で短時間でもよいが,できるだけ多くの機会を活用してプログラムに取り組むことができるように配慮している。 子どもは、任意のモジュールの任意の課題からスタートしたり、ランダムに課題を選んだりすることができる。子どもの課題従事と正答数は自動的に記録用紙に記録される。記録用紙は、複数の課題系列ごとの変容が記録されるだけでなく、モジュール全体の総合的評価が示されるTO(筑波大塚)書式を本プログラムに適用したものとなっている。 また、本プログラムは、できるだけ大人が支援しながら進めることが望まれている。そのためにも、簡便で短時間で終了できるようにしている。数多く取り組むことで活動参加をさらに促してしていくためでもある。 本プログラムは、遠隔地や専門性の交流機会が乏しい島嶼部などの社会資源環境が整っていない地域でも活用できるように、ネットワーク環境で配信したり情報交換ができたりするようにコンパクトなソフトとして開発してきたが、セキュリティー上の課題も明らかとなった。
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