研究課題/領域番号 |
25381317
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 作新学院大学 |
研究代表者 |
田所 摂寿 作新学院大学, 人間文化学部, 准教授 (80616300)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高機能自閉症スペクトラム障害 / キャリア教育 / グループプログラム / 保護者支援プログラム / 自己理解 / 他者理解 / 支援機関 / 知的障害のない発達障害 |
研究概要 |
本研究の目的は、従来の定型発達者と発達障害者(主に知的障害)のキャリア教育プログラムの狭間にとり残された存在となっている知的障害のない発達障害、特に高機能自閉症スペクトラム障害の青年に対するキャリア教育プログラムを開発することである。今年度は、高機能自閉症スペクトラム障害の青年5名(平均年齢17.4歳)対するプログラム10回と、その保護者6名に対する支援プログラムを10回行った(共同開催1回を含む)。本人プログラムの内容としては文部科学省がキャリア発達の課題として挙げる「自己理解の深化と自己受容」「選択基準としての職業観・勤労観の確立」「将来設計の立案と社会的移行の準備」「進路の現実吟味と試行的参加」を目標にし、各プログラムにおいてワークと参加者同士のディスカッションを行った。一方保護者支援グループにおいては「子どもの自立に向けた子離れ」を目標とし、成年後見人制度、地域における支援制度、産業医の支援など就労後や将来に向けてどのような支援があり、それをどのように活用していくのかについて医師やソーシャルワーカー、カウンセラーなどの専門家を講師として招き講話とディスカッションを行った。この1年間のプログラムを通しての効果の検証について分析を行っているところであるが、本人プログラムの効果として自己理解が進んでいる事がインタビューから伺われた。保護者プログラムの効果としては、さまざまな支援機関について知識を得ることのメリットはあったものの、保護者自身がそれをどう活用していくかについて自身の中での戸惑いを感じている事も明らかになった。また高機能自閉症スペクトラム障害の子どもを持つ保護者の心理的特性を明らかにするために、対照群として軽度知的障害の子どもを持つ保護者と重度知的障害の子どもを持つ保護者の3群に対してのインタビュー調査を行い質的な分析を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である高機能自閉症スペクトラム障害の青年に対するキャリア教育プログラム及びその保護者に対する支援プログラムを計画通り年間10回実施した。プログラム効果について、質問紙や振り返りシートなどさらなる分析が必要であり、これらをまとめて学会発表する予定である。また高機能自閉症スペクトラム障害の子どもを持つ保護者の心理特性を明らかにするためのインタビュー調査については計画していた以上に進んでいる状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度も高機能自閉症スペクトラム障害の青年に対するキャリア教育プログラム及びその保護者に対する支援プログラムを年間10回実施する予定である。プログラム1年目に行った内容を踏まえた上で、2年目のプログラムを計画している。また今年度については高等学校における高機能自閉症スペクトラムの生徒への対応方法やキャリア教育の実態を明らかにするための質問紙調査を予定している。そのための理論構築及び質問内容の精査を行い関東地方の高等学校を対象として郵送調査を行うことを計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度のキャリア教育プログラム作成のための文献研究として予定していた書籍代について、当初の予定よりも少ない金額で研究の遂行が可能となったため。 平成26年度におけるプログラム実施にあたっての講師謝金と、高等学校に対して行う質問紙調査の理論構築のための文献費として使用する予定である。
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