研究課題/領域番号 |
25381317
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研究機関 | 作新学院大学 |
研究代表者 |
田所 摂寿 作新学院大学, 人間文化学部, 准教授 (80616300)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高機能自閉症スペクトラム障害 / キャリア教育 / グループプログラム / 自己理解 / 教材ビデオ / ロールプレイ / 就労におけるソフトスキル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高機能自閉症スペクトラム障害(ASD)の青年期におけるキャリア教育プログラムの開発である。今年度もASDの青年男子5名(平均年齢18.2歳)を対象としてキャリア教育プログラムを実施した。 今年度の取り組みとしてはまずASDについて理解する講義である(第2回、第3回)。なるべく彼らが理解できるように資料をパワーポイントで作成し、理解しやすいイラストやエピソードを織り交ぜながら説明を行い、ASDの特徴と自分の特徴を比較してもらった。さらにASDの特徴とはまた違う自分の特徴というものも考える時間を作った。後半では「ビジネスマナー」としてビデオ教材を作成し、具体的な場面状況でのソフトスキルについての説明を行った。続いて同じ場面状況で自分がどのように対応するのかについてロールプレイを行った。各人ともビデオ教材を視聴している時は、どこが適切でないのか、どうすべきかについて活発に意見を述べることができていた。しかし実際にロールプレイとして自分が取り組むことになると、かなり緊張してしまい、時間をかけてシミュレーションを行うことが必要であった。第6回では「報告・連絡・相談」、第7回では「アルバイトの準備としての電話のかけ方」、第8回・第9回では、職場におけるコミュニケーションの在り方として、「他の人に助けを申し出る」や「優先順位を質問する」、「相手の要求を断る方法」などをビデオ教材によって学習しロールプレイで実践を行った。最後の10回ではそれまでのロールプレイの中から各個人が苦手なシチュエーションを作り、ロールプレイを行いまとめを行った。プログラム評価としては、昨年度と同様に中間期では各得点が下がっていた。これは夏休みのアルバイトやボランティア体験が影響していると考えられる。プログラム実施前と後とで比較してみると、概ね1年を通して、さほど大きな変化が見られないか緩やかに好転しているという結果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究は、第一に、高機能自閉症スペクトラム障害の青年に対して、年間10回キャリア教育プログラムを行うことである。この目的については予定通り実施することができ、研究の量的データおよび質的データを得ることができた。プログラムの実施については概ね計画通りに進んでいる。第二に、高等学校における高機能自閉症スペクトラムの生徒への対応方法やキャリア教育の実態を明らかにするための質問紙調査を予定していたが、理論構築及び質問紙作成が予定より遅れており、当該年度内に実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度においても、前の2年間同様に年間10回のキャリア教育プログラムを実施する予定である。3年目として30回のプログラムをまとめる予定である。加えて前年度に実施することができなかった高等学校における高機能自閉症スペクトラムの生徒に対する対応方法について調査を行う予定である。加えて3年間のまとめとして、研究成果を学術誌に投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度実施予定であった高等学校に対して行う質問紙調査の印刷代及び郵送費について、当初の予定より研究が遅れており実施することができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に実施予定だった質問紙調査を、平成27年度に実施する予定であり、そのための印刷代及び郵送費に使用する。
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