研究課題/領域番号 |
25381318
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研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
松浦 直己 東京福祉大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (20452518)
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研究分担者 |
友田 明美 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (80244135)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 少年非行 / 被虐待 / 児童自立支援施設 / MRI |
研究実績の概要 |
本研究の目的は以下の3点であり、研究協力機関である、神戸市立若葉学園と連携し、また共同研究組織である、福井大学子どものこころの発達研究センター、および兵庫県立リハビリテーション中央病院と協力しつつ、順調に進捗している。 (1) 非行化した被虐待児(児童自立支援施設入所児)の神経学的特徴をMRIを使用して評価する。同時に行動・情緒特性を多面的に評価し、被虐待の神経学的影響を明らかにする。(2) 児童自立支援施設の夫婦小舎(実際の夫婦が、非行化した児童青年を家族的雰囲気の中で治療教育的に矯正を目指す施設)に入所した子どもたちの治療効果を評価し、神経科学的基盤に立脚した治療法を提案する。(3) 対象児(概ね9-15歳)を入所時と退所時にMRIで評価し、深刻な被虐待経験を有する非行少年の神経学的リカバリーメカニズムを解明する。 (1)に関しては堅実なデータ収集が進行しているほか、平成25年4月から約30人程度、入所時と退所時の両方を測定したデータは約15名程度集積している。WISCによる認知面の検査、各心理尺度を用いた行動や情緒面の評価も順調に進んでいる。 (2)に関しては、若葉学園が採用している夫婦小舎制度に注目するとともに、園内に学校を有する、学校教育制度にも着目し、彼らの精神的発達や学力伸張などにおいてもデータ収集を図っている。このような取り組みを数年間継続することにより、児童自立支援施設の矯正敎育効果を評価できると考えている。 (3)に関しては、実際に入・退所時と同様のMRI画像撮影と、半構造化面接、多様な心理尺度評価をへ移行して実施しているので、多変量解析により、堅実なエビデンスを抽出することが可能であると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究協力機関である、神戸市立若葉学園の幹部職員および心理スタッフ、行政機関関係者らとの密接な意思疎通、および十分な信頼関係構築の元、調査研究を行っていることが第1の要因である。基本的には本人と保護者の同意を得たケースのみ調査を行っているが、丁寧な説明により、ほぼ全員の協力が得られている。 さらには児童生徒をよく理解している、学園側のスタッフに半構造化面接や心理尺度の記入なども協力してもらっているため、信頼性の高いデータを収集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はMRIの画像解析を行う。そららのデータと行動データ、および心理学的評価データを組み合わせて、多変量解析を実施する。中間分析結果ではあるが、国際的なジャーナルに投稿し、発信していく予定である。データ収集についてはこれまで通り、堅実に進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
出張計画について不備があったため。具体的には、予定をしていた会議が中止となった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究対象児のMRI撮影費用とする。また突然の会議等の出張費に充てる。
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