ASD児への日常的なコミュニケーション支援を行うために,かれらの語用論的能力を検討した。研究の結果(1) ASD児は表出言語において情報を提供する構造や談話の語用論的な制約に対する感受性を定型発達(TD)児と同様に有していること,(2) ASD 児,TD児ともに話者の発した言語的意味と発話意図の異同に関しては正しく理解していたものの,冗談と皮肉に関しては理解が困難なことがわかった。他方(3)ASD児は非言語情報の統合が困難である可能性が示唆された。以上の知見にASD児の養育者との情報交換から得た知見を加えることにより,ASD児への日常的なコミュニケーション支援を行うための具体的な情報を得た。
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