研究課題/領域番号 |
25381327
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 中部学院大学 |
研究代表者 |
別府 悦子 中部学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60285195)
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研究分担者 |
小渕 隆司 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50457818)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 社会性の発達 / 乳幼児健診 / 自閉症スペクトラム障害 / 親子関係 / 早期発見 / 療育 / M-CHAT |
研究概要 |
自閉症スペクトラム障害など社会性の発達に困難を抱える子どもたちの支援においては,初期の段階での様々な問題に気づかれず、発見が遅れることによって、集団の中で顕著となる行動問題や不適応問題、子ども虐待などへの対応に、保育者や教師が困難を抱えることが課題のひとつとなっている。本研究では、①社会性の発達に困難を抱える子どもの早期発見のためのアセスメントの有効性の検証、②支援対象となった子どもの療育や早期支援の方法の検討、③育てにくさから生ずる親子の関係性の不調への早期からの介入方法の検討、を行うこと。そして、①~③に基づき、乳幼児健診や発達相談の場面で活用できる方法やシステムを開発することが目的である。こうした目的にそって、次の2点について共同研究を実施し、遂行している段階である。 1)乳幼児健診や事後フォローにおいて、社会性の発達に困難を抱える乳幼児の早期発見のアセスメントの有効性を検証する研究:自治体の乳幼児健診における問診項目とおもちゃグッズを工夫した観察項目を加えたもの、および睡眠や食事、言語などの生活・発達に関する項目を加えた聴取アンケートを行い、データを収集する。こうした行動観察や聴取アンケートの結果を分析し、アセスメントの方法としての有効性を検証する。2013年度は、共同研究対象の自治体と覚え書きを交わし、1)の実施に向けての体制作りを行った。また、それに先立ち、連携研究者からの研究計画に対しての助言を得るために打ち合わせを行った。こうした研究体制作りを経て、入力データの内容を確定し、現在データ入力を進めている段階である。 2)社会性の発達に困難を抱える子どもの対人コミュニケーションの発達と親の養育困難への支援:2013年度は月に1度の小学生グループの療育における子どもの行動を記録し、親への聞き取り調査を行った。支援しつつ変容の過程を分析している段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、1)乳幼児健診や事後フォローにおける社会性の発達に困難を抱える乳幼児の早期発見のアセスメントの有効性を検証する研究(担当:別府悦子・小渕隆司)2)社会性の発達に困難を抱える子どもの対人コミュニケーションの発達と親子関係のよりよい関係性構築のために有効な支援方法の検討(担当:別府悦子・連携研究者別府哲)を研究内容とし、計画を立てた。そして、連携研究者の神尾陽子から助言を得るために研究の打ち合わせを実施した。また、共同研究実施の自治体との覚え書きを交わし、綿密に打ち合わせを行った。このように研究の体制を整えた上で、分析項目を抽出し、データ入力するために、自治体関係職員との間で検討を行い入力するデータを確定した。データが膨大のため、前年度では入力は終了しなかったが、ほぼ終了する見込みである。さらに、統計処理に詳しい共同研究者が必要と考え、今年度より宮本正一を研究分担者に加え、分析を進めていく予定である。このように研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
自治体の乳幼児健診のデータ入力作業が終了後、分析に入る。それをもとに、研究2年目には、得られた研究知見を現場実践に還元できるものは研究成果を報告し、随時発信しつつ、現場との共同検討をもとに、実践的な検証を行う。また、得られた資料を整理し、総合的に分析し、乳幼児健診や発達相談のアセスメント方法、子どもの発達支援や療育および保護者への援助方法を明確にしていく。また、連携研究者の医師や発達心理学者とともに、得られた知見を検討し、自治体の乳幼児健診や発達相談に生かせる方法を抽出して、社会性の発達に課題のある乳幼児の早期発見と早期支援についてのモデルを提示していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度はデータの収集等、研究は順調に進展しているが、データの集計に係る経費執行額が予定より少なくなったため、残額が生じた。 平成26年度の計画についても、資料収集、データの集計が必要となるため、それに充当する予定である。
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