研究課題/領域番号 |
25381327
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研究機関 | 中部学院大学 |
研究代表者 |
別府 悦子 中部学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60285195)
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研究分担者 |
小渕 隆司 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50457818)
宮本 正一 中部学院大学, 人間福祉学部, 教授 (40105060)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 1歳6か月児健診 / 社会性の発達 / M-CHAT / ままごと遊び / 乳児期の発達との関連 / 性差 |
研究実績の概要 |
研究計画に、(1)自治体の1歳6か月児健診において、M-CHATの問診項目、およびおもちゃグッズを工夫した観察項目を加えたものをもとに、半構造化面接を行い、そこでの子どもの反応を保健師がチェックリストで記録する。また、睡眠や食事、言語などの生活・発達に関する問診項目を加えた聴取アンケートを行い、データを分析する。(2)3歳児健診において聴取アンケートを行い、1歳6か月児健診の半構造化面接の結果および聴取アンケートの結果との関連性を分析し、アセスメントの方法としての有効性を検証する、を掲げた。 この研究計画に基づき、自治体の乳幼児健診カルテの入力作業を行った。岐阜県本巣市においては、1歳6か月児健診を受診した435名のデータ入力を完了させた。そのデータを統計処理し、現段階で明らかになったことは、①おもちゃグッズを工夫したままごと遊び観察の反応を「通過」「芽生え反応」「不通過」の3グループに分類できた。②そのうち支援度の高いグループに男児が多かった。③ままごと遊び観察において、いくつかの支援のために重要な項目が抽出された。さらに、4か月児健診と7か月児教室との関連性を分析したところ、うつぶせ、寝返り、人見知りなどの項目において、支援度との関連性が取り出された。 本研究の目的において、社会性の発達に困難を示す子どもの早期支援の課題を明らかにすることを主要な目的としているが、こうした目的を探求する上で、いくつか重要な研究成果が見いだされ、継続して検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乳幼児健診を受診した児童のデータを個人情報が明らかにならない状態にして入力し、統計処理を行っている。対象の児童がまだ3歳児健診を受診していないため、1歳6か月児健診受診を終了した段階までをデータ入力の対象とした。これについては、入力作業が終了した。今後対象児童のデータが揃い次第、前方視的研究だけでなく、後方視的研究を並行させて行う。また、共同研究の打ち合わせを自治体職員と研究グループのメンバーで行い、分析の視点を確認してきた。 その中で、統計分析結果により「支援得点」による対象児のグルーピングが確定できたので、それをもとに前方視的研究を進めている。その結果の一部を、2015年度の日本教育心理学会第57回総会で報告する予定である。 上記の意味で、データ入力とその分の分析、分析視点の確定などを行うことができ、最終年度の研究のまとめにつなげることができたことから、達成度としてはおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2015年6月ですべての対象児のデータ入力が終了する予定であり、その後、データを前方視的、あるいは後方視的に分析し、社会性の発達に困難を抱える児童の早期支援についての所見を明らかにする。その成果をもとに、乳幼児健診における社会性の発達に困難を抱える児童の早期発見と早期支援に関わった社会実装に向けて、自治体との共同作業を推進する。 また、こうした研究成果を社会に還元していくため、学会や雑誌などへの発表を推進する。さらに、自治体の乳幼児健診として先進的な二つの地域の取り組みを、社会に発信していくために、デジタルコンテンツなどを作成する、研究報告の機会を設定するなどの取り組みを行っていきながら、3年間の研究のまとめを推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
乳幼児健診のデータ入力作業がすべて終了しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
乳幼児健診のデータについて、子どもが健診を受診するのと並行しながら入力作業を進めているため、それが終了するのが2015年度になる。これに関しての謝金に使用することを計画している。
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