研究課題/領域番号 |
25381328
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 聖隷クリストファー大学 |
研究代表者 |
原田 浩美 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 教授 (50599545)
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研究分担者 |
能登谷 晶子 金沢大学, 保健学系, 教授 (30262570)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 聴覚障碍児 / 親 / 自己効力感 / 半構成面接 / 言語獲得 |
研究概要 |
聴覚障害児の言語療法で乳幼児期より手話や文字言語を導入する方法(金沢方式)を用いて訓練した場合には、聴力の程度や生来の知能(IQ)によらず、約80%が正常範囲の話し言葉(言語性IQ)を習得できることを報告してきたが、知能が正常でも日本語が十分習得できない児も存在している。その原因を解明するため、これまでは子ども側の要因に焦点を当ててきたが、今回は親への指導および支援に不足があるために、一部の児では日本語の習得が十分ではないのではないかと考え、親側の要因にも焦点を当て、親の心理的達成感や自己効力感等が聴覚障害児の言語発達にどのように影響しているかを検討し、以下を報告した。 1.文字-音声法で訓練を受け、普通小学校通学児を持つ親2名に対し、親自身の一般性自己効力感の程度をGSES testにて測定し、半構成面接を実施(家族の反応、訓練に向き合えるまでの期間、退職した時の気持ちなど、全13項目)した。その内容から、特定行動(聴覚障害児を育てるために必要な行動)の自己効力感を測定する要因を検討した結果、2名とも一般性自己効力感の程度は「普通」であった。「家族は全面的協力」、「やるべきことが明確に見えた」、「見本となる先輩がいた」、「退職は嫌だったが、切り替えた」などであった。本検討では、特定行動の自己効力感を測定する質問紙には上記に挙げた4項目が重要であると予測した。 2.文字-音声法で訓練を受けた、健常児と同等もしくはそれ以上の言語力を獲得している「普通小学校入学1年前~社会人の聴覚障害児・者」を持つ母親8名に対し、1.同様の評価を実施した。自己効力感は、非常に低い2名、低い傾向にある2名、普通2名、高い傾向にある2名と散らばりがみられた。面接結果から、①難聴診断時の気持ち、②落ち込んだ後、前向きになれた原因、③落ち込みからの乗り越え方に共通の反応が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文字-音声法で訓練を受け、普通小学校通学~社会人の聴覚障碍児・者を持つ親10名に対し、半構成面接を一対一で行い、親としての思いを自由に口述してもらい、次に、親自身の自己効力感(Self-Efficacy)をGSES testを用いて測定し、さらにTEGIIを用いてエゴグラムを作成、その結果を分析し、学会にて発表した。 25年度の予定では、5名の親に対して評価を実施し、論文にまとめる予定であった。協力いただいて評価した対象数は、予定を上回っているものの、論文執筆が間に合っていないため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1年目と2年目を合わせて、20名の方のご協力を頂く予定であったため、本年度は10名の方に半構成面接を含めた評価をさせて頂く予定である。 分析内容は、当初の予定では、自己効力感を従属変数、聴力レベルや出生順、訓練開始からの経過年数等を独立変数として多変量解析を行うというものであったが、それに加えて、半構成面接結果を逐語録に起こし、項目毎にカテゴリーを作成し、質的分析を加えることによって、質的、量的の両面からの分析を実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
データ収集において、前年度予定より多くの対象者の協力を得られたため、その分の分析にかける時間が減ってしまい、音声データ起こし、結果入力依頼が遅れたため。 人件費:前年度インタビューデータ逐語録作成のための、音声データ起こしを依頼予定。
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