研究課題/領域番号 |
25381333
|
研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
倉内 紀子 九州保健福祉大学, 保健科学部, 教授 (60320488)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 特別支援教育 / 発達支援体制 / 多職種連携協働 / アセスメント |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、社会資源の少ない人口13万人の中都市で実現可能な、多職種連携協働による幼児期の発達支援体制を構築することである。平成26年度は、延岡式得手不得手チェックシート(NSDC)を作成し有用性を検討するとともに、延岡市の1中学校区をモデル地区とした保育所(園)・幼稚園への訪問支援を実施した。 平成25年度の調査結果を分析し、6領域30項目からなるNSDCを作成して信頼性と妥当性を検討した結果、構成概念妥当性と内的整合性が確認され、カットオフポイントを19/50点以上が適切であることが示された。4歳児、5歳児計2,024名のうち、本基準で抽出された要支援児の割合は10.3%であった。 また、モデル地区9園の4歳児、5歳児計501名にNSDCによる1次アセスメントを行った。回収率は100%であり、要支援児の割合は10.4%であった。発達支援のニーズがあり保護者の了解が得られた3園5事例を対象に、医療、保健、福祉、教育、行政の多職種プロジェクトチームで、K-ABCⅡによる2次アセスメントと各園3回の訪問支援を行った。訪問日には行動観察終了後、保育士を交えてケース会議を実施した。3回の訪問終了後にはモニタリングを行い、モデル地区9園の主任等を対象に事例検討を含む研修会を開催した。 以上より、NSDCを活用した多職種連携協働による発見・支援のシステムの基本案を提示することが可能となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、6領域30項目からなるNSDCを作成して信頼性と妥当性を検討し、要支援児の抽出基準を作成した。また、1中学校区をモデル地区とし、モデル地区9園の4歳児、5歳児501名を対象にNSDCを実施し要支援児を抽出した。回収率は100%であり、計画通り、発達支援のニーズがあり保護者の了解が得られた3園5事例に対して、2次アセスメントと訪問支援を実施することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度には、平成26年度に引き続き、NSDCをモデル地区9園に実施し、保護者の了解の得られた事例を対象に、多職種連携協働による訪問支援を実施する。研究実施計画では予定していなかったが、9園の保護者を対象にNSDCを実施し保護者支援の基礎資料を得る予定である。対象となる保育所(園)・幼稚園、対象児、保護者には、研究目的や方法、結果の公表方法、人権の擁護について十分に説明を行い、研究参加について同意を得る。また、支援ツールについても検討し、NSDCを活用した早期発見・早期支援のシステムを構築して行政に提案する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
主に昨年度のデータを分析して基準値を作成したため人件費・謝金は発生しなかった。また、連携協力者の旅費については他の研究費を充当したため、会議費は学内の会議室を使用したため残額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
多職種連携協働による要支援児の支援に用いるツールの開発に必要な書籍の購入等、物品費として充当する予定である。
|