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2014 年度 実施状況報告書

発達障害児の地域育児支援-ピア・グループサポートの意義と専門家役割-

研究課題

研究課題/領域番号 25381334
研究機関名古屋女子大学短期大学部

研究代表者

幸 順子  名古屋女子大学短期大学部, その他部局等, 講師 (20250251)

研究分担者 竹澤 大史  愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, その他部局等, 主任研究員 (80393130)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード発達障害児 / 育児支援 / ピア・グループサポート / 相互支援 / エンパワメント / 当事者主体
研究実績の概要

本研究では、育てにくい子どもと発達障害児の地域育児支援(保護者によるピア・グループサポート)実践の分析を通して、地域生活に根ざすピア・グループサポートが保護者のエンパワメントにどう貢献するかと、グループのエンパワメントに貢献できる専門家役割と当事者(保護者)主体の地域育児支援モデルを明確にすることを目的とする。
実践研究については、研究代表者らが参加・支援するK市主催の育てにくい子どもと発達障害児の「育児教室」(平成15年~)および、「育児教室」より立ち上がった地域での交流と相互支援を主旨とする保護者と子どもの「自主サークル」(平成22~)における保護者のピア・グループサポート実践の記録を行った。それに基づき「保護者の子ども受容と理解」、「保護者の自己受容および変容」、「保護者同士の関係の変化」、「グループサポートの場の意味」、「支援者の役割・機能」などの視点から記録を分析し、ピア・グループサポートが主体者としての当事者(保護者)の意識にどう貢献しているかについて検討した。
調査研究については、グループ参加者を対象とした、ピア・グループサポートへの意識を問うインタビュー調査結果の分析を行った。分析結果の一部は、日本発達心理学会第26回大会にて発表した。ピア・グループサポートにおいて、同じ立場の他者の話を聞いたりコメントしたりすることを通して、参加者は自己や子どもへの洞察を得ている事が明らかになった。自己への気づきの内容は、「自己の価値観やあり方の変化」「自己洞察の深まり」「子育てへの気負いがなくなる」「前向きにものを捉えられるようになる」「一人ではないという意識」「情緒の安定」「子どもの意志を尊重した子育てが大切だという意識」などであった。子どもへの気づきの内容は、「成長へ気づき」「ありのままの子どもを受容し理解するようになったことの自覚」などであった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

K市におけるピア・サポートグループ参加者を対象とした「ピア・グループサポートに対する意識」と「ピア・グループサポートを支援する専門家(支援者)の役割・機能」を問うインタビュー調査の結果について、その成果の一部を平成27年3月日本発達心理学会第26回大会にて「育てにくい子どもと発達障害児の地域における育児支援―ピア・グループサポート参加者へのインタビュー調査から3・4―」と題して発表した。よって、研究の全体的な取り組みとしては、概ね順調に進展していると判断して良いであろう。

今後の研究の推進方策

本研究自体が、展開し続ける先進的な地域育児支援実践の取り組みでもある。本研究における実践を詳細に分析描写すること自体に意義があると思われるため、引き続き本研究における実践および実践のインタビュー調査を詳細に分析検討する予定である。
方法論的には、分析結果を可能な限り客観化するために、インタビュー調査の回答などに表れるキーワードをカテゴリー化し、カウントする試みを行うことを考えている。
また、継続し展開し続ける実践であるため、将来的な方向性として、prospectiveにインタビュー調査を行い、参加者の意識の変遷を明らかにすることや、対象者の子どもの成長を考慮し、思春期の育児支援を検討して行くことも視野に入れ、研究の準備を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

主な理由としては、予定していた、デジタルビデオカメラの購入ができなかったため。

次年度使用額の使用計画

購入予定であったデジタルビデオカメラと周辺機器等を購入の予定である。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 強度行動障害を示す児童と家族を対象とし多知的障害児施設における有期限の入所支援―モデルケースの実践を通して―2015

    • 著者名/発表者名
      竹澤大史・幸順子
    • 雑誌名

      名古屋女子大学紀要(人文・社会編)

      巻: 第61号 ページ: 223-236

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 育てにくい子どもと発達障害児の地域における育児支援 ピア・グループサポート参加者へのインタビュー調査から32015

    • 著者名/発表者名
      竹澤大史・幸順子
    • 学会等名
      第26回日本発達心理学会
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      2015-03-20 – 2015-03-22
  • [学会発表] 育てにくい子どもと発達障害児の地域における育児支援 ピア・グループサポート参加者へのインタビュー調査から2015

    • 著者名/発表者名
      幸順子・竹澤大史
    • 学会等名
      第26回日本発達心理学会
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      2015-03-20 – 2015-03-22
  • [学会発表] ペアレント・メンター活動における実態とメンターの意識(1)-動機,援助者利得,負担感に着目した実態調査-2014

    • 著者名/発表者名
      小倉正義,綾木香名子,原口英之,加藤香,安達潤,吉川徹,竹澤大史,井上雅彦
    • 学会等名
      第55回日本児童青年精神医学会総会
    • 発表場所
      浜松
    • 年月日
      2014-10-12
  • [学会発表] ペアレント・メンター活動における実態とメンターの意識(2)-援助者利得に関連する要因の検討-2014

    • 著者名/発表者名
      綾木香名子,原口英之,小倉正義,加藤香,安達潤,吉川徹,竹澤大史,井上雅彦
    • 学会等名
      第55回日本児童青年精神医学会総会
    • 発表場所
      浜松
    • 年月日
      2014-10-12
  • [学会発表] 発達障害児の保育における研修プログラムの開発(4)2014

    • 著者名/発表者名
      竹澤大史,塩田心,玉井一男
    • 学会等名
      日本心理学会第78回大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2014-09-12
  • [学会発表] 応用行動分析学の知識が保育士の効力感、ストレス、スキルに及ぼす影響2014

    • 著者名/発表者名
      塩田心,竹澤大史
    • 学会等名
      日本心理学会第78回大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2014-09-12
  • [学会発表] ABAが保育士の発達障害児支援のスキルに与える影響2-KBPACの結果から見る知識の変化-2014

    • 著者名/発表者名
      塩田心,竹澤大史
    • 学会等名
      日本行動分析学会第32回年次大会
    • 発表場所
      弘前
    • 年月日
      2014-06-29
  • [学会発表] 子どもの育ちを支援するプログラムの構築・運用に関する研究(3)Grundschule と Hort の関係を中心に2014

    • 著者名/発表者名
      百々康治・丸山真名美・浅野敬子
    • 学会等名
      中部教育学会第63回大会
    • 発表場所
      愛知教育大学
    • 年月日
      2014-06-21
  • [学会発表] 母親の育児意識に関する研究-育児安定タイプの自由記述-2014

    • 著者名/発表者名
      幸順子・浅野敬子
    • 学会等名
      日本保育学会第67回大会
    • 発表場所
      大阪市
    • 年月日
      2014-05-17 – 2014-05-18
  • [学会発表] 母親の育児意識に関する研究-方法の再検討-2014

    • 著者名/発表者名
      浅野敬子・幸順子
    • 学会等名
      本保育学会第67回大会
    • 発表場所
      大阪市
    • 年月日
      2014-05-17 – 2014-05-18
  • [図書] 知的障害児入所施設における短期入所支援2014

    • 著者名/発表者名
      竹澤大史,小松則登,万年育子
    • 総ページ数
      23-26
    • 出版者
      実践障害児教493(2014年7月号)
  • [備考] 各教員の学位及び業績

    • URL

      http://www.nagoya-wu.ac.jp/sogo/kokai/gaiyo_tan.html

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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