本研究においては、病気のある児童生徒への教育支援の方略として、ICTを活用した授業形態の有効性と課題を明らかにすることを目的としている。特に、病気による自宅療養のための学校という場に出向くことができない長期欠席することになる児童生徒への教育支援におけるICT活用について検討を行った。平成27年度の研究成果は次の通りである。 【1.日本における病気のある児童生徒への遠隔授業の実施】ICTの活用による教育支援が,病気のある児童生徒の教育支援に有効であったことから,学校教育の場に行くことができない自宅療養等を余儀なくされている長期欠席している児童生徒への教育支援へのICT活用の方略について、特別支援学校(病弱)の教職員、隣接する医療機関の関係者等と連携し、研究を推進した。大阪市総合医療センター内の大阪市立光陽特別支援学校分教室において、WEB会議システムを活用して、治療終了後に退院し、住民登録されている自治体の中学校に転籍しながらも、自宅療養によって通学できない生徒の自宅と分教室とにおいて、遠隔授業を実施した。学力の補完はもちろんのこと、WEB会議を実施することによって、起床時間が一定したり、着替えをして生活したりするなど、基本的生活習慣にも好影響を及ぼすことが確認できた。 【2.学会等における研究成果報告】全国病弱虚弱教育研究連盟研究協議会京都大会、埼玉県立岩槻特別支援学校、石川県立医王特別支援学校、大阪市立光陽特別支援学校において、病気の児童生徒への教育におけるICT活用について講演した。日本特殊教育学会第53回大会にて、「病気の子供の療育と学びを支えるICT活用」をテーマに自主シンポジウムを企画し実施した。日本育療学会第19回学術集会にて、「病気の子どもの学びを支えるためのICT活用の意義」を演題に講演した。日本育療学会第19回学術集会にて、研究成果の一部を連名により発表した。
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