研究課題
本課題は高分子主鎖の階層構造を利用して、光学活性基を階層的に配列制御することが重要であるため、光学活性基を階層的に配列した高分子膜を合成するための片巻きらせん構造を持つ高分子を新たに合成し、また、除去可能な置換基を導入し、膜状態で除去することによりナノ空孔を生成し、ナノ空孔を有する膜の光学分割能を検討した。具体的な内容については下記の通りである。1)アキラルなトリメチルシリル基を有するポリ(4-トリメチルシリルジフェニルアセチレン)のテトラヒドロフラン溶液の円偏光二色性(CD)スペクトル測定において、コットン効果が見られないことから不斉ならせんねじれ構造を持たないことを確認し、そのポリマーを光学活性なD-あるいはL-リモネン中で加熱することで、主鎖に片巻きらせん構造を誘起することに成功した。このポリマーの膜を用いたラセミ体のアミノ酸水溶液の光学異性体選択透過性からこの膜が光学分割能を示すことがわかった。2)イミダゾリル塩部位を介して光学活性なジメチルピナニルシリル基を有する片巻きらせんポリフェニルアセチレンを合成した。生成ポリマーのテトラヒドロフラン、クロロホルム溶液の円偏光二色性(CD)スペクトルでコットン効果が見られたことから高分子主鎖が片巻きらせん構造をもつことが確認できた。(最終年度に実施した研究の成果):3)エステル基およびカルバメート基を介して光学活性基を導入したフェニルアセチレンモノマーから誘起片巻きらせん構造を有するポリフェニルアセチレンを合成した。生成ポリマー膜の膜状態での脱置換反応により、階層的に空孔を有し、かつアミノ基およびカルボキシル基を空孔内に有するポリマー膜の合成に成功した。4)ポリジフェニルアセチレン誘導体から調製した膜を用いて、脱置換反応によるナノ空孔の生成およびクリック反応を利用したナノ空孔内へ官能基の導入に成功した。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 5件、 査読あり 7件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 4件)
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