原子スケール摩擦系において,摩擦転移の発生条件を解明した.タングステンとシリコンの現実系で摩擦転移を調べるために多体効果を考慮した高精度原子間ポテンシャルを作成した.この原子レベル摩擦系では, 摩擦領域と超潤滑領域が,すべり速度と表面間相互作用力の大きさに依存して特徴的な領域に現れる.原子レベル摩擦系の動力学解析により,摩擦条件に強く依存して摩擦系のエネルギー散逸速度が大きく異なることを解明し,このエネルギー散逸機構を,周期倍分岐やカオスによって制御可能であることを示した.摩擦振動のスペクトル分析とポアンカレマップ分析により,摩擦振動のストレンジアトラクタ発現の可能性を示した.
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