カルボン酸水溶液中で金のアノード酸化挙動を確認したところ,しゅう酸水溶液では金の多孔質皮膜が得られるのに対し,クエン酸水溶液中では金酸化物の多孔質皮膜が成長し,その細孔構造が非常に微細であることがわかった.また,酸化皮膜は不安定であり,大気中で自発的に金のナノスケール多孔質皮膜に還元されることがわかった.金多孔質皮膜の平均細孔径は約7nm,比表面積は約60gcm-2であった.一方,硫酸水溶液をはじめとした無機酸及び無機酸塩の水溶液中では,皮膜中に有機物を含まない金酸化物の多孔質皮膜が得られる事,アノード酸化後のカソード還元によって迅速に金多孔質皮膜が得られることが確認された.
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